第7話 イメチェン


「あいつに聞いたなら十分だろ。早く帰れ」


手の甲で追い払うと、ゲームに再度顔を向ける。


「えぇ~、先輩のドタイプになってきたのにそれは酷くないですか~?」


ゲーム機と顔を間に、ひょいと顔を覗かせてくる。


「ドタイプって……それも智親か聞いたのか」


眉を顰めて聞く俺に、


「そうです!」


ドヤ顔でサムズアップする。

人の話をベラベラと……絶対に許さなぞあいつは。


「ということで先輩! 昨日の続き、シませんか?」


唐突に来ていたブレザーを脱ぎ出す真城。


「は? 続き?」


「昨日、シてなかったからここなら誰も来ないし続きをしようかなーって」


「いやいや、続きもなにも何もしてないだろ」


「本当だったら、私とほにゃほにゃしてたのにですか?」


「それはお前の妄想だ」


変な言い訳をしてまでヤりたいのかこの女は。

性欲モンスターすぎる。

興味があるからって、俺とシたいとか頭湧いてるんじゃないのか?


「……ちぇ、見た目がタイプになったら抱いてくれるって聞いたのに私」


断わると、徐に不機嫌そうな顔を浮かべる。


「智親はそんな事まで吹き込んでたのか」


「黒髪ボブにすれば一発で落ちるって言ってたのに……嘘つき」


決して嘘ではない。

ぶっちゃけ、昨日の100倍はタイプだ。

これでもし、ビッチではなく清楚だったら確実に惚れていた。


ギャルビッチが見た目だけ変えても、ただの清楚系ビッチにジョブチェンジしただけだ。


「そんな事しても俺はお前とヤらない。用事ってのがこれだったなら帰りな」


「別にヤるだけが私の用事じゃないです。ホントに先輩と絡みたいだけなんですよ~」


と、駄々をこね始める。


「俺はお前みたいなタイプが嫌いなんだよ。ウザいしめんどいし、ビッチは好かん」


「なら! やみくもに誰かとエッチするのやめます!」


「嘘コケ!」


「嘘じゃないですから!」


今日まで幾度としてヤりまくってた人の口から聞く「やめる」という言葉が一番信用がない。


それに、もう中毒であるエッチを辞めてまで俺と絡む意味とは。

イケメンでもなく、特にこれと言って目を引くわけでもない。

ただエッチのお誘いを断っただけの俺に興味を示す意味が全く分からない。


「これが嘘だったら、私の髪の毛はどうなるんですか!」


プクッと頬を膨らませる真城。


「ただのイメチェンっていうことで、自分で納得させれば!」


「私はそんな都合がいい女じゃないですから!」


「いや都合がいい女だろどう考えても」


ビッチが都合がよくないわけがない。

誘ったら誰とでもヤるなんて、都合がいいの鏡だろ。

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