第3話 典型的なクソビッチ


 胸に誘惑はされるが、ここで真城に流されてヤるくらいだったら死ぬまで童貞の方がマシだ。

 誰とでもヤるようなビッチと誰がするかよ。


「えぇ~、この機会ですしヤっちゃうましょうよ~」


 お尻をフリフリとさせながら誘ってくる真城。


「なに、欲求不満なわけ?」


 なんでそこまでして俺とシたいんだ? 俺の童貞を奪ったところで真城になんのメリットもないはずだ。


「欲求不満ってわけじゃないんですけど~、さっき先輩が来ていいところで終わっちゃったから物足りないんですよ~」


「んなの他当たれよ」


「目の前にいるのが先輩だから私は誘ってるんですよ?」


「ちょっとくらい我慢して他を当たれ」


「服もはだけてるし、今、私濡れ濡れですよ?」


「だからなんだよ」


「今、敏感なのでお互いめっちゃ気持ちよくなれると思いますよ~?」


「知るか」


 俺以外にもヤる相手なんて山ほどいるだろ。これまでヤったことある人から探した方が絶対に早い。


「あとは~、色んな人と経験してみたいからですかね?」


 人差し指を顎に当てて首を傾げる。


「もしかして経験人数をステータスと思ってる人?」


 だとしたら、めっちゃ痛いヤツだ。

 経験人数が多くても、なんの自慢にもならない。

 一人しかシたことなくて、その人一筋っていう人の方がよっぽどカッコいい。


「ステータス? とは思ってないですけど、まぁ相性いい人を探してるって言うのはありますね」


「典型的なクソビッチだこれ」


「クソビッチは言い過ぎですよ!」


「妥当だ」


「もっとオブラートに包んでください!」


「オブラートが溶けるくらいにお前は救いようがないんだよ……」


「むー……」


 ブクっと頬を膨らませて不機嫌そうな顔を浮かべる。

「どう考えてもクソビッチだろ。誰にでも股を開くクソビッチだよお前は」

 もっと言い方を悪くすると、ヤリ〇ンだ。


 誰かとシてなきゃ自分の存在意義を見出せない悲しい存在。

 一人が嫌だから誰かしらを捕まえて人肌を感じたい寂しがり屋。

 経験人数が多い方がいいと思ってる勘違い女。


 どれを取っても、ただの痛いヤツでしかない。


「快楽の為にヤってるのはありますよ? けど私はそれ以上に目的があるんです!」


「やっぱ経験人数をステータスにするのか?」


「違います! 運命の人を探してるんです!」


「は?」


 ついケンカ腰になってしまう。

 どういう思考で、運命の人を探す手段が『ヤる』になるのか俺に教えて欲しい。

 運命なんてものは、自分から見つけるものではない。

 日常生活を過ごしている内に、自然に巡りあうものだ。


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