第2話 先輩の初めて奪っちゃおうかなぁ~?


「どっからそんな話が出てくるんだよ」


 真城の提案に、顔をしかめる俺。


「私とシたいなら、シてもいいですよ?」


「いや、ヤらん」


 なんで俺の初めてを後輩ビッチギャルにやらなければならない。

 俺の童貞はそんなに安くはないし、こんなところで卒業したところで後から後悔するだけだ

 初めては、恋人と、初々しくお互い初めてがいい。


「え、シたくないんですか?」


 断わられるのが想定外だったが、ポカンとした表情を浮かべる真城。


「するわけないだろお前なんかと」


「なんでです? 男子だったらみんな私とシたがるのに」


「他のヤることしか頭にない猿と俺を一緒にするなよ」


「先輩、もしかして性欲ないとかですか?」


「それはある」


 ただ、真城とシたくないだけだ。


「なら、先輩は童貞?」


「童貞ではあるが、関係ないだろ」


「へぇ~先輩童貞なんですかぁ~」


 机の上から立ち上がると、そのまま俺の方へ近づいてくる真城。


「童貞だからなんだよ」


「高校2年生にもなって童貞とか、可愛い」


「普通だろ」


 舌で唇を舐める真城に、俺は真顔で言う。

 童貞を卒業する平均年齢は20.3歳。高校生でシたことなくてもおかしくない。

 童貞とか普通だ。逆に、卒業している人の方が異質。


「高校にもなったら普通ですよ~。してない方がおかしくないですか?」


「それはお前がバグってるだけだろ、ビッチが」


「ビッチとか言い方悪いっですてぇ~」


 苦笑いする真城に、


「ド正論だろ」


「せ、正論なんですけどぉ~? 周りの皆もシてるじゃないですか~?」


「ビッチの周りにはビッチが集まるんだろ、知らんけど」


 その囲いと俺を一緒にしないでもらいたい。ていうか一般人を巻き込むな。


「童貞ですかぁ~、いいですねぇ。興奮してきちゃいますよ」


「勝手に興奮するな」


「童貞とか言われたらそそられますってぇ~」


 俺にくっ付き、胸をおもむろに当ててくる。

 服越しにも分かる、高校生とは思えない、豊満で柔らかく暖かい感触。

 こいつがなんでビッチなのか分かる。


 絡みやすい愛想のいい性格。褒めたくはないが、顔も可愛い。

 極めつけは、この胸。

 いくら理性があっても、これを押し付けられたら大抵の男は堕ちるだろう。本能に逆らえなくなる。


 しかし、俺には効果は薄い。

 ヤらなくても、柔らかい胸を押し付けられただけで満足してしまうくらいには童貞を拗らせているからな。


「先輩の初めて奪っちゃおうかなぁ~?」


 そのまま、上目遣いでさらに、俺の腕に胸を押し付け、本気で落としてくる真城

 しかし、俺は軽蔑した目で、


「え、普通に無理」


 と、冷血な声で言った。


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