経験人数3桁の後輩ギャルは、どうやら俺に惚れてるらしい

もんすたー

第1話 私とシたくないんですか?

「んっ//先輩、そこっ//」


「悠紗ちゃん……それヤバいっ」


 肌寒くなった10月前半。

 放課後の教室から聞こえる喘ぎ声。


「……」


 そして、ドアを開けて広がる光景にイヤホンを外すと、呆然と立ち尽くす俺、園田実真(そのだみるま)。


 窓際の机の上で、はだけたワイシャツで股を広げ、火照った顔で声を漏らす一個下の後輩、真城悠紗(ましろゆうさ)。


 その股の間に、ズボンを下した腰をぴったりと付けている多分一個上の先輩。

 俺は、この光景にビックリしただけでさほど衝撃は受けていない。


 なにせ、真城は学校でもビッチと有名人。


 金髪ロングをなびかせ、メイクも濃い。

 しかし、可愛いのは事実だ。元が美形でなければ、こんな格好してても浮くだけだ。


 噂で聞くに、経験人数は3桁越え。頼めばいつでもヤらせてくれる、彼氏ができても相性が悪かったすぐ別れるらしい。

 学校の男子は、ほぼ食い散らかしたとも言われている。


 俺が驚いたのは、自分のクラスに筆箱を取りに行ったらヤっていたから。

 真城が誰とヤっていても別に驚かないのだ。


「あ……」


 こちらに気付いたか、真城はこちらに顔を向けると、気まずそうに口を開ける。


「ん、なんだ……って誰か来たのかよっ」


 真城の表情を不審に思った先輩は続いてこちらを向くと、顔をしかめる。


「別に覗きにきたわけでは……」


 弁解しようとした俺だが、


「ちょ、今日はここまでだ。じゃあな」


 そんな暇もなく、慌てた様子で先輩はスボンを履き、服のはだけている真城を置いて教室を後にした。


「……」


「……」


 2人、教室に残された俺と真城は無言で立ち竦んでる。

 クソ気まずいぞこれ……早くこの場から退散しないと。

 偶然だったとはいえ、一番遭遇したくない場面に出くわしてしまった。


「それじゃ、俺もこれで……」


 後退りをして、教室から出ようとした俺だったのだが、


「ちょっと待ってくださいよ~」


 真城に呼び止められる。


「えっと、なんで?」


「なんでって、覗きに来たんじゃないんですか?」


 小首を傾げながら言う真城。

 少し体が揺れただけで、たわわな胸がプルンと震える。


「だから覗きに来たわけじゃないって。覗くならもっとこっそりと覗くだろ」


 ドアを少し開けて盗み見するだろ覗き魔なら。

 俺は違う。

 イヤホンをしていて教室の外に響いているであろう喘ぎ声が聞こえず、中でナニが行われているかも露知らずドアを開けたんだからな。


「あ、確かにそっか」


 ポンっと手のひらを拳で叩くと納得する。


「じゃぁ、偶然で私と先輩がシてるのを見ただろうけど、何も思わなかったんですか?」


「逆に何を思うんだよ」


「興奮する~だの、ムラムラする~だの。何かしら感じませんでした?」


「感じないな」


 とは言ったものの、嘘だ。

 この状況を見て、男なら誰しも興奮するだろう。目の前に服のはだけたビッチで可愛い後輩。

 興奮しないわけがない。

 だがしかし、性欲に直結するかと聞かれたら、それはまた違う。


 ふーん、と見透かすような目をする真城は、足を組み、赤のTバックをチラリと見せ、胸元をちらつかせながら、


「先輩、私とシたくないんですか?」


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