6話目 自己嫌悪の日々
あれから数日が経った。この姿になった最初の日の夜以降あそこまでの性衝動に襲われることはなかった。しかし夜になると決まってそわそわするのであった。
ユユはあの事件以降もずっとそばにいてくれている。心なしか以前よりなついてる気がする。
この姿になるまでは当たり前だがこんなことは1度もなかった。ユユのことはかわいい狩りのパートナーだとは思っていたが、そこは人と狼そんな衝動に駆られるはずもない。
一体俺の体はどうなってしまったんだ。
そんな自己嫌悪の日々を送っていると、カルロスが狩人ギルドの連中何人かを連れて訪ねてきた。手には酒や干し肉など手土産いっぱいだ。
なんでも俺が描いた地図を元に騎士団たちが夜襲をかけ、魔族の研究施設を破壊できたようだ。魔族たちには逃げられたようだが、最前線の憂いを一つ取り除けたことになる。これ以上被害者が出なくてよかった。情報をもたらしたカルロスと狩人ギルドは報奨金がでたとかで、今日は土産を持ってきてくれたようだ。
酒を飲みながら近況を話していると、みんな俺がどんな姿になったのか聞いてきた。どうやらずっと気になっていたが言い出せなかったらしい。
カルロスと接触した時も、今もフードを深くかぶり顔や体は見えないようにしている。人がどんな反応をするか気になったので、まずは仲間と呼べるみんなに見せることにした。
フードを取ると・・・これがまた意外と好評。だがそこは狩人の連中だからかもしれない。野生動物や魔獣をあまり目にしないものからすれば十分怖いモンスターだろう。またみんな俺であることを知っているし、俺の性格も知っている。これが一般的な評価とは思わないように行動するべきだと肝に銘じた。
皆にはこの狩人小屋も放棄してもっと奥深くに行くかもしれないことを伝えた。ここは好きに使って構わない。またいつあの衝動が現れるかわからない。周りに人がいたらどんなことが起こるのか・・・想像もできない。そう思うとなるべく町から離れたかった。
みんなが帰った後ユユが隣に来た。とても安心すると共にまた自己嫌悪に陥る。はやく自分の体を理解せねば・・・
けものの国 矢口羊 @HitsujikusaiSato
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