3話目 獣人
カルロスと別れると、人目につかないように急いで森の中に入った。施設脱出から森まで急いでいたので喉がカラカラだ。俺の狩人小屋の近くに水のきれいな泉がある。そこまで行って一休みしよう。
森の中はホーム。まるで実家のようだ。見知ったけもの道を抜け泉に向かう。
俺が捕まったのは少し欲をかいてしまった所為だろう。いつもと違う森に入りひと収穫終え油断したところを捕まった。これが動物だったのなら俺でも気づけたはずだ。
相手は魔族。急に後頭部に衝撃を受けたことを思い出すと、隠密や隠ぺいといった認識障害の魔法を使っていたに違いない。
汚い!さすが魔族汚い!
と、心の中で悪態をついていたら泉についた。
まずは一飲み。あー生き返るようだ。ようやく人心地ついた。
元々狩人として森に一人で入ることが多く、人と関わらない生活も苦ではない。このまま街の周辺の森で暮らすか、もっと奥に入り人が寄り付かないであろう場所で暮らすか。迷うところだ。
まぁとりあえずはカルロスがおいしい酒を持ってきてくれるまではこの小屋で暮らそう。町で俺のうわさや、状況が変われば伝えに来てくれるだろう。暇なら。
それはそうと、やはりここで確認しておかなければいけないことがある。
俺は一体どんな姿になってしまったんだ。
水を飲むときはまだ覚悟ができていなかったので、泉に映る自分の姿をなるべく見ないようにしていた。落ち着いてきた今、覚悟を決めるべきだろう。
意を決して泉を覗き込む。そこには大きな猿と猫科の動物の顔が混ざったような顔立ちの獣のような人。あえて言うなら獣人の姿が映っていた。
・・・あれ?元の俺よりかっこよくね?なんか流線型のフォルムだし、がたいもよくなってる。
魔族の非人道的な実験の犠牲になった俺は、結果自分的にかなりのプラスの対価を無自覚に得てしまっていたのであった。
よし!結果オーライだな!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます