2話目 話分かりすぎる

「カルロス!」


 少し遠めから見えた知り合いに声をかける。冒険者や狩人が無事を知らせるハンドサインを見せながら近寄っていく。


「モ、モンスター!?いや、今のはアニマールの声!そしてハンドサイン・・・お前アニマール本人か!!?」


 いや、話分かりすぎるだろ。カルロス。天才かよお前。


「そうだ。俺だ、アニマールだ。」


「お前の行方が分からないってんで狩人ギルドも心配してたんだ。元気でよかった!」


「いや、元気かどうかはわからないが街に戻ってこれてよかった」


 どうやら、町にも俺を心配してくれる人はいたらしい。ちょっと嬉しい。


「経緯を説明すると、いつものように森で狩りをしていたら突然意識を失った。目を覚ますと薄暗い遺体安置室の様な実験室の様な場所で、周りにはたくさんの人の遺体があった。部屋の机に置かれていた書類の文字から魔族が関与してると思う。」


「最近噂になってた話だな。騎士団も調査を進めているらしいが、進展はないらしい。」


「施設は巧妙にカモフラージュされている。森の中だ。今ざっくりだが地図を描く。」


「アニマールが直接案内することはできないか?」


「・・・俺も出来ればそうしたい。だが、もう人とは呼べない姿になってしまった。下手に町の人々を刺激したくない。・・・迫害もされたくないしな。」


「そうか。」


「俺はこの地図を届けて死んだことにしてくれ。しばらくは森の中の俺の狩人小屋で生活している。ギルドの連中にはそれとなく伝えておいてくれると助かる。うっかりモンスターと間違えられて狩られても笑い話にもならないからな。」


「違いない。・・・分かった。ギルドのみんなには伝えておくよ。たまに酒なんか持っていくからその時は一緒に飲もう。」


「いい酒期待してるよ。じゃあな。」



 そう言うと俺は森の小屋に向かって歩き出した。さらば町。さらば人生。ありがとう友達。

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