第17話「事態は急展開」



 ─ 勇夫のトレーニング部屋 ──





 二階のトレーニング部屋で、勇夫が綾音の指導の下また筋トレに励んでいる。


「本当に勇夫さんって、筋トレが好きなんですね。今日は体験コースとはいえ、結構な時間を費やして色々とやったのに……」


「確かに体験コースは面白かったが、あれは初心者向だろ? 俺は甘いジュースより、刺激的な飲み物の方が好きなんだ!」


 そんな会話をしながら筋トレにいそしむ勇夫。勇夫に指導しながら、自分も軽く筋トレする綾音。


 刻々と時間が過ぎてゆき、金属音と荒い息しか聞こえなくなったこの部屋で、二人はお互いに見つめ合い体から発せられた熱だけではない熱が上昇していく。


「勇夫さん、このトレーニングベンチで腹筋した事あります?」


「いや、トレーニングベンチで腹筋はしたことがないな」


「じゃあ、この少し端辺りにまたがって座って下さい」


 勇夫が綾音の指示通りに、トレーニングベンチの少し端辺りにまたがって座った。


「これでいいか?」


 綾音が返事をするでもなく、勇夫の対面にロングスカートをたくし上げて勇夫と同じようにトレーニングベンチにまたがって座った。必要以上にスカートを捲っているため、太ももが露出している。


 勇夫は綾音の太ももに目をやると、躊躇なく手を伸ばした。綾音の白く柔らかな太ももを、日に焼けた勇夫の大きな手が膝から上に這っていく。


「あっ……」


 小さく声を上げた綾音に目をやる勇夫。


「綾音ちゃんは敏感だな!」


 筋トレで火照ったのか、太ももを触られたからなのか、綾音の頬は桃色に染められていた。


「私も触っていい?」


 上目遣いで口を開く綾音に、勇夫がいつでも来いと言わんばかりに胸を張った。


「何度見ても凄い筋肉……。この盛り上がりがたまらないわ……」


 勇夫の盛り上がった胸に両手を這わす綾音。うっとりしながら勇夫の胸を見つめている綾音。すると突然目の前が暗くなった。



 ──えっ? 何……。



 綾音がそう思っている最中に、唇を奪われる。


「んんっ!」


 不意に唇を奪われたと同時に胸を揉まれており、綾音のシャツの中に手を入れた勇夫が素早くブラのホックを外した。


 ホックを外したその手を今度は前に持っていき、ブラの下から生で胸を揉む勇夫。


「んっンッ!」


 キスは激しくなり、やがて舌が絡む。


 胸を揉んでいた勇夫の両手が、その先端を摘んだ。


「んっはぁあん!」


 キスをしたまま、今度は綾音が動きだし勇夫を後ろに倒す。


「んんっ! い、勇夫さん、上半身がトレーニングベンチから出ちゃうから、お腹に力を入れて」


「なるほど、こういう使い方もあるのか!」


 仰向けになった勇夫は、綾音の胸に当てていた手を頭の後へ持っていき、浮いた上半身を腹筋の力で支えている。そんな無防備な勇夫のズボンを、強引にズラす綾音。


 すると、勇夫の立派なジュニアが姿を現した。


「凄い……」


 綾音のうっとりした顔に、口角を上げる勇夫。綾音がすぐさま勇夫の腰下辺りに跨り、捲り上げたスカートの下に手を入れると、そのままゆっくりと腰を下ろしていった。


「んっ……はぁん!!」

「うっ……んーー!」


 重なり合う二人。

 綾音が上下に動き、勇夫が腹筋をする。


「ふんっ! ふんっ!」

「あっ! はぁっ!」


 そこへ。


 ガチャ……


 ドアが開く音に、勇夫と綾音が硬直する。


「入るわよ〜……」


 突然、香織が勇夫のトレーニング部屋に入って来た。


「え? 勇夫? それ……何をやってるの?」


 香織からは、頭に手を組んで少し倒れている勇夫の後ろ姿が見えている。その勇夫の上には綾音が乗っていた。


 その姿を見た香織は思った。



 ──あれって、腹筋してるのよね? 綾音ちゃんを自分の体の上に乗せて支えてもらってるの? よくもまぁ人様の奥さんをあんな風に使えるわね!



 香織は自分の中でそう解釈すると、怒りの表情を浮かべた。


 香織に見られて直ぐにバレなかったのは、綾音がスカートを履いていたので中が見えなかった事と、勇夫がトレーニングベンチで間違いなく腹筋をしていた事が幸いし、カモフラージュになったからだ。


「ちょっと勇夫! 綾音ちゃんを下ろしなさい!」


 香織が怒りながら部屋の中へ入って行く。


 場は緊迫の様相を呈していた。


「ちょっと勇夫、聞いてる? 人の奥さんになんてことさせてるのよ!!」


 確実に勇夫と綾音の所へ近づいていく香織。


「いや、香織さん! 私は大丈夫ですよ!」


 来てもらっては困る綾音が、大声で香織を否定する。


「ただの腹筋だ! 入ってくるな!」


 勇夫の言葉を無視して、香織がマシンを避けながら勇夫達に近づく。


「綾音ちゃんも下りていいわよ! 勇夫の言う事なんか聞かなくていいのに!」


「わ、私がこのスタイルでって言ったんですよ! だから、大丈夫です!!」


「駄目よ!」


 綾音の再三の言葉も、香織には届かない。


「何が駄目なんだ!! 早く出て行け!」


 あと1台のマシンを躱せば勇夫に手が届く所まで来た香織。


 勇夫と綾音は思った。



 ──お願い! 来ないでー!

 ──バレたら離婚だー!



 その時。


「香織さ〜ん!! 真琴ま〜くんが起きちゃいました! 泣いてますよ〜!!」


 一階から聞こえる浩司の声に、香織が踵を返し返事をする。


「は〜い! いま行くね〜!! 勇夫! 早く綾音ちゃんを下ろしなさい!」


「ああ、分かった分かった!」


 そのやり取りを最後に香織が部屋から出て行った。


 香織が勇夫にもたれ掛かり、勇夫が香織を包みこんだ。


「嫌だ……心臓が爆発するかと思ったわ」


「ああ……一瞬で縮んでしまったぞ!」


「「危なかったな(ね)」」


 二人は残念そうに離れ、服を直した。


 すると、勇夫が綾音の顎を持ち上げてキスをする。


「んっ……」


 唇を離した勇夫が、綾音のお尻を触りながら言う。


「今度は最後まで……な!」


「あんっ……」


 火照った体は敏感になっており、卑猥な声を出してしまった綾音が真っ赤な顔で頷いた。

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