第8話

「もっかい! もう一回ぃ!」

「もうこの辺で終わりにしておくわよ。そろそろライトアップの時間なんだから」


ぼっこぼこだった。ツカサは本当に勝ちたかったのか慣れていないはずのスティックを瞬時に身体に適応させて私を倒しまくった。

途中からうなじにキスして妨害しようとしたら、無言で頭突きされた。いたい……

ツカサは呆れながら駄々をこねまくる私にスマホの画面を見せてきた。うぅ、本当にいい時間じゃんか……


「えーっと……10回やって私が8回勝ったから……」

「ぐぬぬ……」

「ふふふ、覚悟しなさいよね? さっき言ったこと、忘れたとは言わせないから」


ツカサの目が光った。あれは本気の目だ。まさかあんなに負けるなんて思わなかったよ……これからしばらく夜に自分がどんな目にあうか、想像するだけで胸がきゅうううっと締め付けられる。今日散々意地悪しちゃったし、手加減してなんて言えないよね……

敗北した私がぐったりとしていると、ツカサが少し笑った。くっ! 勝者の笑みかそれは!


「というか、あたしたち本当に何しにきたのか分からなくなってきたんだけど」

「何って、遊園地デートでしょ?」

「そうだけど、やってることがいつもの変わんないのよ……ご飯食べて、ゲームして……まあセナと一緒だから楽しいけど」

「確かに……まあでもこれからが本番だよ。ライトアップのイベントがあるんだからっほらいくよ!」

「はいはい」



「それよりっさっきし損ねた分。ちゃんとするから!」

「っ……!?」


私はツカサのうなじに軽くキスしてやった。ツカサは頬を赤く染めつつ、お返しにと私の唇を奪ってきた。

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