第7話
にぎやか、というよりもやかましいの領域に入りつつある音に包まれているその場所に、私たちは来ていた。こうしているとここが遊園地の中っていうのが忘れそうになるね。忘れちゃダメなんだけどさ。
隣でツカサが呆れた顔をしている。
「セナ。あんた……遊園地に来てまでこれなの?」
「えー? いいでしょ? ここだって遊園地ではあるんだよ?」
私たちはゲームコーナーに来ていた。すごいね。遊園地の中にもあるんだ。
色んなビデオゲームの筐体が並んでいて壮観だ。今じゃすっかりゲーセンは少なくなったからかなり貴重な光景に見えるよ。
「それはそうだけど……まあいいわ私だって嫌いじゃないし」
「おっゲーマーの血が騒いだな?」
「セナ、あんたもでしょ?」
こくこくっと頷く。私もツカサも部屋ではしょっちゅう対戦している。夜の勝負で勝てない分はゲームで勝つ、それが私たちだ。
「中学生の頃あんたに誘われてからすっかりはまっちゃったわ。それでどれで遊ぶの? ぬいぐるみとか取ってあげようか?」
「それも良いけど……あっ! ほらっ! あっち行こうよ!」
私はツカサをゲームコーナーの奥に連れて行った。古いゲームから最近のゲームまで色んな筐体が並んでいる。くぅ。持ち帰りたい。絶対ムリだけど。
「……ねっ?」
「……なるほどね」
その中の筐体の一つを私は指さした。
ロックサウンドが魅力的な格闘ゲーム。キャラもセリフ回しもBGMもセンスの塊だ。
家でしょっちゅう二人で対戦しているから、その筐体を指さしただけで私たちの目的は決まった。
顔を合わせる。相変わらずツカサの顔が良いけど、今はそれどころではない
「三本先取。負けたらパフェおごり。それと次するときの攻め権」
「上等よ。跡付けたまま出勤する恥ずかしさをあんたも味わってもらうから!」
私たちは筐体に座って、繋いでいた手を離した。代わりに握るのは筐体のスティックとボタン。
いざ勝負ー!
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