第5話
「あー楽しかった。というか……」
「ええ……疲れたわね……」
観覧車を降りた後、私たちは色んな乗り物を乗り回した。ジェットコースターとかコーヒーカップとか。でも途中で早くも体力の限界が来てしまった。おかしい。
私たちは二人並んでベンチに腰掛けてぐったりしていた。
「学生の頃はもっとはしゃいでも大丈夫だったのに……どうしてこうなったんだろうね」
「そうね同感だわ……もっと運動して、体力付けないとね」
「変なこと言わないでよー、まだお昼だよ?」
「あんた何想像してんのよ……」
まさか夜までに体力の限界が来るなんて思わなかったよ。少し休めば大丈夫だとは思うけどね。
この遊園地は夜にライトアップのイベントがあるから、それを楽しみにしていたんだけどなぁ
「ていうかあたしは良いのよ。疲れるの値する理由があるんだから」
ツカサはあたしをジト目で睨んだ。
「えー? どういうこと? 私別に何か悪いことした?」
「お化け屋敷。五周」
「あー……すいませんでした」
今回のメインイベント、下手したら夜のライトアップよりも大きいイベントかもしれないお化け屋敷。嫌がりつつも結局行ってくれたツカサにドキドキしつつ、しっかり私は怖がるツカサを楽しんだんだ。叫んで抱き着いてきて、私の腕を抱きしめながら震えて。思い出すだけできゅうううって胸が苦しくなったよ。
さすがに六回目を誘った時は首を絞められたけどねっ
「あんなに声出したの久しぶりよ……」
「夜以外ではね」
「うっさい」
「ツカサってば何度言っても慣れずに怖がるからかわいかったよ」
「そんなんで褒められても嬉しくなんかないから」
ツカサは頬を膨らませてそっぽを向いた。流石にご立腹っぽい。あとそっぽを向いたときに揺れたポニーテールがかわいい、ずるい。
つんつんと頬をつついても反応はない、これは彼女として挽回せねばっ。
「ねーツカサ?」
「あによ」
「パフェとチュロス。どっちが良い?」
「……両方。あんたのおごりだから」
「ふふふっそれじゃいこっか? 怒ったかわいい彼女を鎮めるのも彼女たる私の役目だよ!」
「自分で怒らせておいてなぁに胸を張ってんのよ。ほら早く連れてってよ」
「はーい」
んっ。とツカサが喉を鳴らした。私がそれに合わせて腕を差し出すとツカサは少し頬を緩めて私の腕を抱きしめた。すっかり甘えモードに入ったらしい。くっ……顔が良い……
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