第2話
「えいっ!」
「ふぅ……今日は楽しむわよ? 彼女のあたしをガッカリさせないでよね?」
「任せなって相棒! 隣町の公園にまで遊びに行ったときくらい私を頼ってくれたまえよ!」
「セナってば、すごい昔の話を持ち出すわね……あたしたちがまだ小学生の頃じゃない。」
「楽しかったよねぇ、ツカサはあの時から私のことが好きだったんでしょ?」
「とーぜんよっ。いやそれよりも……あの時ほどあんたを頼りにはできないわよ、帰り道が分からなくなって迷子になったこと忘れてないんだからね?」
「うげー、この女そこまで覚えてやがったか」
私とツカサは幼なじみだ。家が隣で学校も一緒、高校時代にしたお泊り会で唇を貪り合いあってから告白という順番が違うだろと言いたくなることがきっかけで付き合い始めたんだ。そして社会人になった今は念願の同棲生活の真っ最中。
「そりゃあ覚えているわよ。二人でさんっざん怒られたんだもの」
ツカサがばつが悪そうに前髪をさらっとかき上げた。それあんまりしないで欲しい。胸が締め付けられてキスしたくなるんだよ? 自分の彼女のことしっかり考えてよね? 今ツカサのうなじは隙だらけであることを忘れるんじゃないぞ?
「私だって、ツカサが不器用こじらせて私にキスしまくった後に告白したのちゃーんと覚えてるからね」
女同士で付き合うとか本当に良いのかなと、私が一人で散々悩んでいたのに、あの時のキスが悩んでいること全部吹き飛ばしてくれたんだよ。あとツカサはあの時すでにGあった。おのれ遺伝子。
「不器用って失礼ね……むしろあたし達が付き合い始めるきっかけなんだから、覚えてないとあたしもあんたの彼女としてショックよ?」
「へへへ……あの時は本当に嬉しかったんだよ? ツカサからキスしてくれたの」
あの時ツカサは何も言わずに私を抱きしめて、顔を真っ赤にしながら唇を奪ってきたんだ。嬉しかった。それと同時に……
「にゅふふー」
「あによその顔。もっかいキスで黙らせてあげようか? ここが入場ゲートの受付の順番待ちであってもあたしは容赦しないわよ?」
「いやね? あの時は ”ツカサから” キスしたんだよねー? 私からじゃなくってツカサからしたんだよねー?」
「くぅぅぅ……なんか知らないけどその勝ち誇った顔腹立つからやめなさい……!」
ツカサはギリギリと自由になっている方の腕を軽く上げて握り拳を作った。へへへ。かわいい。私はわざとらしく ”きゃー” と言ってツカサの胸に顔をうずめた……おい頭を撫でるな? お腹の奥が切なくなるだろ!
「ツカサはNもあるんだからちょっと負けたくらいで悔しがらなくても良いのに」
「何の勝負だったのよ……それよりセナだってGもあるんだから世間的には大きい部類なんだし、気にしなくても良いわよ……ふふんっ。まぁそりゃああたしには負けるけどね?」
ぐぅっこの女、勝ち誇りやがって……今夜は遠慮しないからな? でかいということは当たり判定が大きいって事なんだ。きさまの彼女はすでに弱点を知ってるんだ。絶対寝かしてやんないからね! あと今の私はGじゃなくてHだ。二度と間違えるな? 大好きな彼女のためにここまで大きくなったんだぞ?
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