第2話友達の目の前で

同じ自動車のハンドル工場の友達と帰る途中の会話。


「荒田君、僕、工場でずっと屁を我慢してたんだよね。どう?」


「どう?……どうってオレに聞かれても何も言えないよ」


「じゃ、5時間分の屁を聞いてくれるかな?」


「……い、いいとも〜」


「ホントにしていいの?」


「外だからすればいいんじゃない」


「分かった。荒田君との友情のあかしの祝砲を発射したいと思います。3、2、1」


ブジュッ!!


「あ、あんた漏らしたでしょ?『ブジュッ』って聴こえたけど」


「……屁だよ!屁」


「あんた、歩き方、変だよ!」


「よしてくれよ!荒田君。僕は23だよ!何の事?」 


「うわっ、くっせ〜、ウンコの臭いがする。早く帰ってシャワー浴びた方がいいんじゃない?」


「ま、ちょっと出たくらいだから。だけど、君に迷惑は掛けられん。友情の証にシャワー浴びるわ」


「証も何も、漏らしたなら浴びるのが普通だよ」


僕はその時、1本丸ごと漏らしていた。

泣きながら、パンツとジーンズを風呂場で踏み洗いして、洗濯機で2回洗ってコインランドリーに運んだ。

あれは、23歳の夏の話しである。あれから、21年経ったのかぁ〜。

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