僕と会話する面々

羽弦トリス

第1話チェリーボーイ

息子の部屋にて。


「パパ〜、シミケン知ってる?」


「あぁ〜、AV男優のシミケンか?」


「うん」


「お前にはまだ早い!中学生じゃないか!……ま、まさか、彼女いるの?」


「僕は彼女いないよ!必要ない」


「なんだ、驚かすなよ!DTなんだな?」


「DT?」


「うん。童貞だからDT」


「童貞って何?」


「チェリーボーイの事よ」 


「な〜んだ、チェリーボーイの事か」


「ま、パパもまだチェリーボーイだがなっ!」


「パパ、じゃオレどうやって産まれたんだよ!」


「たまたま」


「たまたま?」


「フグリ」


「フグリ?」


「玉袋の事だよ」


「パパ、わりぃが馬鹿とは喋りたくない!」


「黙れっ!偏差値30のくせに!」 


「分かった分かった、パパ、ママには言わないから」


「何の事よ」


「パパがシミケン知ってること」


「逆じゃねぇか。ま、タバコ吸ったらシミケン談議に花を咲かそう」


僕はタバコを吸いにベランダに出たが、息子は部屋のドアにカギを掛けてしまった。

息子も着実に大人になっている。と、感じた会話であった。


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