てるてる坊主

 ある坊主がある寺にいた。ある時、その寺に農民が駆け込んできた。

「お願いです!坊さん!仏様からのお告げは来ていないのですか?大雨の影響で作物が全く育たず、なんとか回収できた作物も腐ってきてしまっているのです!」

農民はそう言って坊主に助言を求めたが、坊主はこう言った。

「まだ、お告げがないのです。お願いです。もう少しだけ待ってください。」

その後、農民は何か言いたそうだったが、おずおずと己の家に帰っていった。


 あるところに、悪戯好きな狐がいた。狐は、今日は誰にどんな悪戯をしてやろうか、と考えていた。

そんなところに、仏からのお告げを待っている坊主がいた。

坊主は誰かに話しかけるようにこう呟く。

「どうか、仏様。私や村のため、この雨をやませてください。」

どんよりとした、黒い雲。そこから落ちてくる、蜘蛛の糸のようにキラキラした白い雨。

それを見て狐は一つ悪戯を思いついた。

坊主に嘘の言葉を言ってやることを。

「そこの坊主よ、生贄を捧げよ。お前が首を吊れば、この村の雨はやませてやろう。」

狐が草むらの中からそう言うと、坊主はハッとしたように曇天の空を見上げ、急いで寺に帰って行った。その坊主に、狐もついていった。空から落ちてくる雫はあたりの風景を映していた。


 暗いままの空と浮かんだ坊主を見ながら子供が唄う。

「照る照る坊主、照坊主。明日天気にしておくれ。」

明日は晴れてくれますように。子供はそう願った。

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