第7話
私の名前は「
南部「ウィッチクラフト」所属の魔女であって、南部管轄の総責任者である「
「あははっ。魔神狩りって「ブラックサバス」も無茶なことをするねー」
「まあ、本部もそれだけ必死ってことでしょう。」
これからその魔神狩りに参加することになるというのに随分のんきなこと。
「「ブラックサバス」も年が年だからねー」
っと思いっきり笑ってみせる彼女こそ私の上司であり、ここ、南部の「ウィッチクラフト」を率いている「炎の魔女」「
目立ちすぎる金髪と褐色の肌が一見チャラそうに見える人だが、こう見えてもやる時はちゃんとやる真面目な人で、私は内心彼女のことを尊敬している。
本来、ここ、南部は特に戦乱が多いため、有能な魔女しか派遣されない。
だが「ウィッチクラフト」は常に慢性的な人手不足に悩まされていて、最近はそうする余裕もなくなりつつある。
その上、十数年前のある黒髪の「魔術師」による虐殺で貴重な戦力を大分失ってしまって、今の「ウィッチクラフト」は現状維持が精一杯と言ったところ。
火火谷さんはその事件でなんとか命だけ取り留めた生き残りで、この中で唯一例の「漆黒の魔術師」の恐ろしさを間近で見た人であった。
今はただ本部に目をつけられた問題児が送られるここ、南部は本部の魔女から「掃き溜め」と呼ばれて、軽視されているが、それでも火火谷さんは私達によりいい生活を送らせるために、本部に戻らず、自らここに残ることにした。
実践経験が豊富な彼女は、たった一人で「帝国」の軍隊と互角に渡り合える貴重な戦力であり、本人が望めば、今以上に良い待遇を受けることもできる。
それでも彼女は私のような問題児たちのために、ここの残って、私達の待遇改善を求める声を上げている。
「んーでもどうしても気が乗らないんだよねー」
でも彼女は今回の作戦に異常なほどのためらいを抱えていた。
「ウィッチクラフト」が「帝国」などの強敵との苦戦を強いられていた頃、突然復帰するようになった「
あの有名な「轟3姉妹」の長女であり、現役の「オーバークラス」、「オーバーソウル」の地位を占めした正真正銘の怪物。
魔神「テラ」を封印した伝説の魔女「轟ララ」にも比肩する天才魔女ということに異論はないが、あれは妹たちと違って「ブラックサバス」の命令にも従わない未曾有のイレギュラー、つまり問題児であった。
故に彼女はいつもハグレモノと扱われて、妹たちを除いた身内にも見切りをつけられて、放置されていた。
そしてついに「ウィッチクラフト」から出ていったと思ったら、今度は別人になって「ウィッチクラフト」に復帰、「ブラックサバス」の命令にも結構従順な態度を見せるようになった。
何か下心があるとは思うが、それでも彼女の優秀さをよく知っていた「ブラックサバス」は早速、彼女を盗まれた魔神「テラ」の捜索作戦の総責任者に任命、そのすべてを委ねた。
封印の洞窟「黒穴」。
そこに眠っていた魔神が「ブラックモーガン」の研究所から逃げ出した半人前のホムンクルスに盗まれたという噂は本当だった。
「ブラックサバス」はモーガンを自分で殺す勢いで怒り狂ったが、その処罰はしばらく見送りになったらしい。
それでもモーガンが地位が前より随分下がったのは確かな事実であった。
そして「轟」家の魔女しか感じられないかすかな魔神の魔力の痕跡を追ってあの天才魔女はたったの半年で魔神の居場所を判明、大掛かりの「魔神狩り」が決まった。
本部は即、捕獲作戦を行うための戦力を集め、今回の作戦に投入した。
そしてその魔神がここ、南大陸にいるという理由で私達、南部の魔女まで全員総動員になったわけだが、
「でも嫌なんだよねー魔神とかあまり私達には関係ないしー」
どうやら私達の隊長は今回の作戦にどうにも気が乗らないらしい。
火火谷さんは他の魔女たちと違って権力争いなどに無頓着な人。
他の魔女みたいにのし上がろうという野望と縁が無い人であった。
返って今の「轟」家の魔女は権力の中心。
彼女は「轟3姉妹」の中で最も危険な長女のウララに関わることをあまり望ましくないと思っていた。
「だって目が違うんだよー
妹たちと違ってウララの目にはこう野望とか、毒みたいなものが詰まっているからー
あんな目をしているやつは遅かれ早かれ、なにかやらかすから気をつけなきゃダメー」
っとだるそうな顔で今回の作戦に対する自分の正直な気持ちを明かしてくる火火谷さん。
本部の魔女の耳に入ったら絶対裁判所に連れて行かれるほどの危険発言だったが、それでも彼女はあまり「囁きの魔女」に関わりたくないと思っていた。
「妹たちは可愛いよ?
「キララ」ちゃんとか、「ツララ」ちゃんとか、ちっこいし、めっちゃかわいいじゃんー
それにいつも「お姉ちゃん大好き」モードだから。」
でも肝心なそのお姉ちゃんが怖い。
火火谷さんは私に確かにそう言った。
「しかしこの作戦は轟の命令ではなく本部からの命令です。
従わなければ組織への反乱と見なされて、討伐されることになります。
ここは適当に合わせるふりでもした方が良いではないかと。」
「つばきちゃんは嫌でも我慢できる子なんだねー偉い偉いー」
っと私の頭を撫でてくれる時女さんの手。
未だに私のことを子供扱いしている火火さんだが、ここ、南部の魔女は皆、彼女にとって守るべきの妹みたいな存在。
彼女はコネも、後ろ盾もないハグレモノの私達を引き取って面倒を見てくれる恩人であった。
だからこそ余計なことで組織に眼付かれたくはない。
私達はただここで今までと同じく私達だけでのんびり生きていきたくだけだから。
「いくら魔神の依代と言っても所詮はホムンクルス。
大したことではありません。」
「そうかなー」
作戦の前にこういうたるんだテンションでは困る。
そう思って私は改めてもう一度今回の作戦の重要性を説明するようになったが、正直なところ、今回の作戦のことをそこまで深刻には思わなかった。
たかがホムンクルス相手にここまでする必要はあったのか。
いくら魔神の依代と言っても魔力供給がなければほっておいても勝手に魔力崩壊で死んじまう儚くてしょうもない存在。
いくら魔神を宿したとしても百戦錬磨の魔女たちには到底敵わない。
その上、大人しく魔神さえ渡せば命は助かるし、必要であれば生命活動のための魔力を補う術も用意してあげられる。
もしまだモーガンに恨みを抱いているのであれば、彼女の目の前で処罰も兼ねてモーガンを引き裂いて殺してやってもいいという「ブラックサバス」直々の命令もくだされている。
そのホムンクルスに命を捨てるまで魔神にこだわる理由は全く見当たらなかった。
それをうまくまっとうすれば私達の日常はまた守られる。
そう思っていた私は、
「何…これ…」
自分の目で初めて見たその惨状を一生忘れられなくなってしまった。
引きちぎれてバラバラになっている肉体。
血管も、筋肉も、神経や心まで元の形が見当たらないほど、切り刻まれてズタズタになった魔女たち。
その中には本部から今回の魔神狩りのために派遣した専門の「猟師」も含まれていて、彼女たちは全員実力だけなら火火谷さんを上回る「梟」級。
つまり戦いにおいて誰よりもプロということであった。
だが、
「どうやら全員死亡みたいね。」
その「猟師」たちすら手も足も出ないほど、魔神の力は常識を遥かに超えるものであることを、私は初めて思い知られてしまった。
一方的な虐殺。
せいぜい「蛇」級の火火谷さんがいる私達なんて出る幕はないと思って古参の「猟師」の命令に従って大人しく後方に待機していたが、それが却って命拾いになったことに心からほっとしてしまった。
それだけあの惨状は筆舌つくしがたい残酷なものであった。
「生存者はなしっと。」
っと上への報告のために、躊躇もせず、一々自ら遺体の確認をする火火谷さん。
ミンチみたいに切り刻まれた「猟師」たちの屍に厭うこともなく触れる彼女を見て、私はよく触れるなと思ったが、
「これくらいは平気。なんともないよ、」
この惨状もまた長い間、戦場で生き抜きてきた彼女にとっては日常に等しいものであった。
「もし加勢できたとしてもここまでの戦力差なら無駄死になるだけだったね。」
っと冷静に私達と魔神との戦力の差を測る火火谷さん。
彼女は決して自分のことを過信することも、相手のことを見くびることもなく、常に冷静な判断をする。
だから彼女は強くて「蛇」級の魔女にもかかわらずここ、南部戦線の総責任者という大役が務まるのであった。
現在「帝国」はかつてのない「黄金時代」。
そんな「帝国」と「聖王庁」を何とかするために、この星にもう一度「魔女の時代」を取り戻すために「ブラックサバス」が選んばのだ4冊の「魔書」を集めて、儀式を行って人為的に5番目の魔神を作り出すことだったが、正直初めて聞いた時はこっそりと鼻で笑ってしまった。
魔神なんてもう五百年も現れなくて、私が生まれるはるか昔のことだから魔神のことについていつもある程度の不信感を抱いていた。
皆、ただ用心深すぎるだけで本当は対魔神対策の「オーバークラス」だって必要ないかもしれない。
そんなことより今は目の前の敵に集中した方がよっぽど現実的ではないかと、私はずっとそう思っていた。
本当にそんなもので「帝国」や他の組織との戦争で勝てるのかと。
でもその考えは間接的にでも触れることができた魔神の力に一変、私はようやく「ブラックサバス」の考えが理解できた。
この力すらあれば奇跡と災い、どっちでも引き起こすことができる。
そして一人でずっと抱えていたある夢がやっと現実味を帯びてきた時、
「「囁きの魔女」…」
私はついに例の怪物に出会ったのであった。
彼女の遺体が見当たらなくて、探しに行った森の中で聞こえた変な音。
「あぁ…先生…♥」
なにか粘液質の何かをかき混ぜるような音と知らない女の声。
様子を確認するために草むらをかき分けて、そこへ向かった時、
「先生の匂い…♥もうこんなに濃厚なんですね…♥」
私は木の下で手に取った赤い下着に鼻を埋め込んでオ◯ニーに夢中になっているしている桃色髪の史上最強の魔女のことを目撃してしまった。
「先生…♥ウララちゃんの大好きで大切な先生…♥
先生のパンツに染み付いたマ◯汁を舐めながら◯ナニーしているいけないウララちゃんの、ウララちゃんだけの大好きな先生…♥」
そして私はなぜ他の魔女たちが彼女のことを避けているのか、ようやくその理由が分かりかけてきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます