第32話 TOP NEWS

「速報です。立った今入った情報によりますと、毛藤県謦咳市にあります、戦艦島が崩壊しているという情報が入りました。今、毛藤放送局のヘリが現地に向かっているところでございますが、現地民によると、巨大な生物が暴れているという情報が入っています。」とラジオがさっそく報道を伝えていた。


「来たぞ。こいつかもしれない!」と黒服は内線で叫ぶ。しかし俺は気が乗らない。「ちょっと待てよ。毛藤って、ここから2000㎞はあるじゃないっすか!そいつらを倒すために俺らが駆け付けるのに、車で行ってたら一週間くらいかかりますよ!その間に、この地に出てくる敵を放置することになりませんか!」と俺はいうなればワガママを言って地球の危機を放棄しようとした。


「ワガママ言うな!俺たちが、地球を守るんだ!」と黒服が言っていると、ラジオは続報を報じた。


「ヘリロケハンの甘噛です。現地に到着しました。今!まさに!上空から虹色の光を発する戦士が現れました!どうやら、戦艦島の怪物に向けて無数のビームを発射しているところを見ると、我々の味方のようです!うわあ~!爆風が※▼★□≒△〇」と音声が乱れて、砂嵐のような爆音が耳を裂いた。


「大変失礼いたしました。音声が乱れました。また後程、現地の様子が分かり次第お伝えいたします。」というアナウンサーの声がして、流れている音声の端で、リポーターの安知を確認するためにマイクに向かって思い切り叫んでいるADらしき声が漏れ聞こえた。


俺たちは、それどころではなかった。「いやいやいや。え、俺たち以外に、戦士がいるってことか?」とそれぞれが頭を巡らせている。


「そういうことになりそうだな。とりあえず、ことは収束しそうだが、どちらにしても、強そうな彼に加担するため、彼のもとに急行するぞ。」と黒服は言って、やはり車を急がせた。


「なんだよ結局現場に行くのかよ。遠いなあ。移動している間にそのヒーローが拠点を変えたりしたらどうすんだよお。計画性がねえなああ。」と俺は一人愚痴りながらも彼に追随した。北村もリナも大人しくついてきている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る