第29話 sugar

俺は、淫蕩で甘美な快感に浸っていた。


俺の前では、リナが俺を挑発するようにバスローブの裾をたくし上げている。恥じらいながらも、徐々にあらわになっていく太もも。細く、しなやかな脚。


俺の股間は、早々に硬度を上げ始め、パンと張り詰めたように血液が集まっていた。


さらに、リナはバスローブの肩をはだけて、その艶やかでエロティックな柔肌を見せて来た。俺は、脳貧血になるのではないかというくらいに、股間に血液が集合していくのを感じていた。


「やめるんだ…。そんなことしたら、俺も、君も死ぬんだ…。」と声に出そうとするも、舌が縺れて喋れない。どうなっている!


俺の制止もきかずに、バスローブをはだけて、一糸まとわぬ姿になるリナは、俺の強張った全身をその白くひんやりとした手指でサワサワと撫でた。


「ああ、それくらいにしておけ…。じゃないと。俺も理性が…。」と言うも、やはり言葉にならない。


ピサの斜塔のように反り立っているイチモツは、ピクピクとした震えをおぼえ、触ってほしそうに揺れていた。


「立派…。素敵ね…。」とだけリナは言って。大胆にも前戯もなしに、ワレメをあてがってくるではないか。


「あああああ!」と俺は飛び起きた。


「ん?あれ?」と俺は、周りを見回し、ベッドの周りの風景を寝ぼけ眼で見まわした。何かがおかしい…。目の前には、リナはおらず、眠る前と変わらない風景が広がっている。唯一違うのは、股間がまだカチンコチンであることだけだ。それだけは、見なくても体感でわかった。


「もう寝ているのに!」とドアを開けてリナが怒ってこちらを見た。「きゃあ!」と俺をみるやいなや、顔を伏せる。


俺は、彼女の目線の先を目で追った。すると、履いていたパンツを割って出た俺のイチモツの先から、ドロドロとした白い液体が尋常でない粘性で今まさにベッドシーツに着陸したところだった。


「いかん!夢精した!」と思ったときには遅かった。めちゃくちゃ匂いがキツイ。


「すまんすまん!うわ!やべ!どうしよ!えー!」と俺は取り乱した。慌ててティシュを取り、自分から出た体液全てを拭いた。


「私から独特なフェロモンは出ているからそれなりにソソラレルとは思うけど!よそでやってよ!もー!」とドアの向こうでリナは叫んでいた。彼女は、俺が発狂しながらも自家発電に勤しんでいたと思っていたようである。難儀な子である。


おそらく、彼女の残り香が、俺の夢の中で淫靡な映像を生み出したのだと合点がいったときには、「どうしよう。俺は彼女を守る日常の中で、毎日夢の中で空っぽになるんじゃないか。」と自分が心配になった。


とはいえ、汚した部分を清掃し、何やかんや動いているうちに、気が付くと、俺は身体の疲労感が収まっていた。むしろ、快活な気がする。


ようやくバタバタと清掃の音が止んだと思ったのかリナは、ドアを開けて、こちらをのぞき込んだ。


「大変だよね。私がいると。」と、なんだかメンヘラチックなことを言っている。なんだこの子は。


「いや、大丈夫だ。何とかなるさ。」と俺は言った。「翼竜君もいるしね。」と付け足しておいた。

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