第18話 AXE

「貴様!」と言って巫女たちは数名にわたって俺に襲い掛かってきた。俺は、こんな武器(トンファー)で何とかなるもんかと思い(なんせ沖縄の古武術なんてこれっぽっちも習ったことないので数名なんて歯が立たんと思った。)、とにかくその空間から出した金属棒の防具を手放した。


そしてもう相手の持つサーベルや刀や出刃包丁にペティナイフなど様々な武器が俺のすぐそこまで来ている瞬間に俺が、「来い!」と言ったところ出たのは、バカでかい斧だった。俺はそれを持て余すように振り回しながら相手をなぎ倒し吹き飛ばしたところ、みるみる内に襲い掛かってきたそれら数名はよくみると映像にするならモザイクを掛けておくべきほど無残な姿になった。


「重てえ!」と腰を言わせそうになりながら叫び、俺はそのバカでかい斧を手放した。するとシュンとまたその武器は消え、俺は体勢を立て直した。


調子にのって「さあ次はどいつだ!お前らもミンチになりてえか!」と俺が相手を下手に煽ると、「黙れ!」と言いながら数名の巫女が腕を振って何かを投げた。俺はとっさに「来い!」とまた叫び、背中や腕から頑丈な鉄製鎧を表出し、身体を守った。


身体の寸前で手裏剣は鎧に当たり、「カチン」と弾けるような音と火花を散らし、落ちた。俺は思わず突っ込んだ。「お前ら忍者じゃねえんだ!しかもなんだサーベルだの出刃包丁だの!ちょっとは神社観出せよおらあ!」と。まさに家事場の馬鹿ツッコミである。


俺はその発言の後間もなく、変な空気になりシーンとした現場に取り巻きとともに取り残された。俺は思わず、「お、おい、誰かなんか言えよ!」と言うと、気を取り直したのか主犯の女が「では空気の読めない、壊した空気の始末の悪いお前をけたたましく疎ましく思うので、見せてあげよう。私の本性を。」とここで最終形態の意思表明を見せてくれた。どういう配慮だ。なんだそれ。


主犯の女に、どんどん生き残りの巫女たちが擦り寄ってくる。それに加えて、俺が失神させたり一閃に伏したりしたものも巻き上がった風塵に舞って集まり、巨大な一人の女と化した。


女は、鎧武者の姿をして、俺(ナイトの鎧)とは対照的な、戦国時代の侍甲冑の姿になった。しかも、身長は3.5mほど。ほとんどさながらウルヴァリンサムライの鎧武者ヴィランや忍者タートルズのシュレッダーのようである。


俺は、「来い!」とまた叫び、手先から諸刃の剣を出した。西洋で使われていたとみられる、のちにフェンシングの競技に発展する突きが主な攻撃のあの剣である。


デカい女は言う、「お前は手先から様々な武器が出せるんだな!だがその楽しみもこれで終わりだ!私を見たからには、絶対に死んでもらう!」と。


俺は思わず豪語した。「できることならそうしてもらいたいね。悪者退治は、ご面倒だからね。だが、俺はあいにく今は死にたくない。だから、勝って、生きてみせるぜ。不器用なりにな!」と。


さあ、和洋折衷の剣戟の一戦。勝つのはどちらか。

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