第17話 Blade
「それ、なんだかわかりますか?」と巫女は言った。俺は、消えた黒服の方に目配せし、離れるよう促した。この女は静かにたたずんでいるが、非常に強い殺気を感じる。なんだ、この感覚は。
「死体だ!お前、人を殺しているだろう?!」と俺は単刀直入に言った。
「そう。あら、いくらお馬鹿な男性でもこれは、わかるのね。」と巫女は言った。そして、静かにこう付け加えた。「世の中にはいろんな気持ちの悪い男性がいます。彼らの中には、どうにか私たちを組み伏せたいと、気を変にしていらっしゃる人が沢山いるわ。私には、どうも相容れないの。なぜ、昔からの巫女さんの言い伝えを、今に持ち込もうとしてくるのか。男どもは、妄想がすぎるわ。」と。
「だからと言って、それだけの理由で、男たちを殺したのか?」と俺は問い詰めた。すると巫女は言った。「仕方ないですよ。どうしようもない頭の方々なので。」と。
さらに巫女はこういった。「この神社の秘密を見たものは、死んでもらいます。」と。そして、方々から数名の巫女が姿を現し、俺を取り囲んだ。
俺は、咄嗟に閃いて「来い!」と叫んだ。それは、「かかってこい!」という意味でもあったが、その言葉が次なる能力のトリガーになることがなぜかわかった。
すると、何もない空間から刀が姿を現し、柄が僕の手にすっぽりと嵌った。なるほど、今回の武器は、刀だな。
「お兄さん?」と声がして振り向くと、「そんなもの出して、この女がどうなってもいいの?」と別の巫女が俺を脅したのは、北村に刃物を向けていたからだった。
数名の巫女はそれぞれに色々な刃物を持ち、俺に文字通り刃向ってきていた。その一人を見ると、主犯の巫女に操られているかのように、目がトロンとしている。そして、手に持ったノコギリ状の刃を北村の首元にあてがっている。
昼間でも裏庭は光の入らない陰りのある場所で、鬱蒼と茂る草木がその陰鬱さをいっそうに引き上げていた。
緊張状態と言える空気があたり一面に立ち込め、俺は額に汗をかき始めた。
「よし、俺はじゃあ、刀をしまう。お前らも、刀を置け!」と言って、俺は刀を地面に置いた。すると、刀は姿を消し、虚空に消えた。
「ちょっと!戦ってよね!これどうすんのよ!」と北村は叫び、「私は大丈夫だから!この女たちの言う事なんて聞かないで!」とも叫んだ。
僕は、様子をうかがっていた。一方的に提案した武器放棄は、先方には受け入れられなかった。そのうえ、僕は丸腰になってしまった。
これ見よがしに俺に歩みを進めてくる巫女たち、しかし、俺には勝算がある。まだ、俺は空間から刀を出せるという確信があった。
「死ねええ!」と仰々しく叫んで一人の別の巫女がサバイバルナイフを手に襲って来た。俺は、また「来い!」と叫んで刀の登場を期待したが、出てきたのはトンファーだった。どう使うんだよこれ!
俺は、左手のトンファーでナイフを受け、右手のトンファーで相手を殴打した。一瞬で失神する巫女7。(12人くらいが取り囲んでいる。主犯の巫女がいる位置が12時だとして、時計回りに7時くらいのところにそいつがいた。北村を使って脅しているのは、3時の位置にいる。)
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