第14話 Sleep

俺が廃倉庫のスタッフルームのようなところにいる間、落ち着かなかったが、とりあえず身を隠すことができるのでそこで仮眠をとった。


気を失っていた北村が、目を覚まし、「あれ?どこここ?」と俺に声を掛けた。「ああ、なんか、倉庫?」と俺が言うと、「えっ!なにこれ!何も変なことしてないよね!」と不躾なことを聞いた、俺は、「あんまり覚えてないかな?デカイ男の人がここに匿ってくれたんだよ。そんなこと言うなよ。」と言った。


北村は、「ああ、そっか。寝ぼけてて忘れてた。」と言ったうえで、しみじみとしたトーンで「でも、ありがとね。」と言った。「何がだよ。」と俺が聞くと、「助けてくれて。」と彼女は言ったので、俺は、冥利に尽きると思った。しかし、そんなことは言葉に表さずに、照れて、「まああれだ、当たり前のことをしたまでだ。」と言うと、北村は、「照れちゃって。」と言われたくないことを言ってきた。


俺は、「ああ!そんなこと言うなよ!」と言って、怒ると、北村は「ごめんごめん。」と言って、「今日は私ここで寝ようかな。変な事しちゃだめよ。おやすみ!」と言って目を瞑った。


俺も、今日のところはこの辺で休みたかったので、漸く休憩することができる。北村は三人掛けの革製のソファ、俺はパイプ椅子を三つ並べただけの簡易ベッドで寝ることになった。俺は、北村の寝顔を見て寝ることができるだけでも、少しでも気が安らぐ気がした。


俺は、北村の寝顔を見ていると、気が付くと眠っていた。

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