第11話 OMG
カラオケ店を出て、店の裏の人気のない場所に立ち、俺は虚空に叫んだ。「なぜあのタイミングで俺を刺す!彼女は事件の真相を知りに来たんだ!だとしたら、彼女はサキュバスではないだろう!」と俺は叫んだ。
俺は、そう思いたかっただけかもしれない、そして、そう思うことで、心のよりどころを見つけたかっただけかもしれない。が、それほどに、俺は彼女を求めていた。今の俺にとって、彼女は落ち着ける場所だった。
虚空に誰もいないのか、それとも無視をされているのか、返事はなかった。俺は、話し合えると思っていた相手がその場に来なかったことを悔やみ、恐ろしい予感がしてカラオケ店の入っていた部屋に戻った。
俺の取っていた部屋には、彼女がいなくなっていた。そして、姿は見えないが、透明人間の男の不気味な声がした。「彼女は知りすぎた。もし彼女を殺されたくなければ言うとおりにしろ。」と声は言った。
俺は声がする方向を大振りなモーションで殴りつけた。透明人間の何処かに当たるだろうと力いっぱい降った拳は、空を裂き、カラオケ店の壁に小さな凹みを作ってしまった。
「何をすればいいんだ!」と俺は虚空に対して言った。男の声は言った。「波止場に行け、先ほどのあの女がいる。」と。
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