第6話 Meteor
俺は、血と言うものが苦手で後じさりしていた。そして、手洗いに向かって、直接汚れてもいない手をゴシゴシと洗った。どこか、これが夢でないかと思い、手を必死に洗うことによって現実を取り戻したいと言わんばかりに夢中でそれをした。
ひとしきり手を洗ったあと、洗面台の前に座り込む。まるで、貧血だ。気分が悪い。俺は、水をうがいのコップに入れて少し飲んだ。冷や汗が引き、ほんの少しだが気持ちが落ち着き、立ち上がって鏡に映る顔を見た。俺の顔はげっそりと痩せていた。
洗面所を出ると、やはり玄関は片付いていた。水勢強く手洗いしていたので、聞こえなかったが、何事も無かったかのように玄関が片付いている。どうなっているんだ…。なにせ、靴箱まで元通りなのだ。
俺は、廊下に座り込んで泣いた。「なんなんだよもう!」と叫び、床を叩きながら。
すると、ベランダの方でドガーン!と音がして、見ると、何か人影があり、曇りガラスの奥に揺らめいている。「もう!また?」と俺はつぶやいた。
俺は、恐る恐るベランダに使づいた。すると、そいつがガラスを割っているではないか。ベランダにやってきた勢いで割れなかったのかと変な疑問もわいたが、そこは置いておいて、とにかく迷惑な敵だ。
「痛てえ!やめろ!」と俺は手を振り回して叫んだ。また延髄にブチリとワクチンらしきものを刺されたのである。手を振り回しても手は俺の狭い廊下の壁を掠めるだけで、手は目に見えない男の誰にも当たらない。それもそのはず、俺はまたゴースト化していた。
「あ、やめろってまた言っちゃった。」と俺は独り言ちると、やがてベランダから敵が現れた。
「あら、お家間違えたかしら。」と女は言った。(なんだオバチャンじゃん。)と思っていると、女はウニのようになって俺にとびかかってきた。現像かされていた俺は、慌てて「あー!やめろ!」と叫んだ。あんなとげとげにあのサイズで刺されたらひとたまりもない。俺は間一髪のところでゴーストになりそれを躱した。
「お前!賃貸なのに壊してんじゃねえぞ!」と叫んで俺は手元にあるサーフボードで熟女を殴打した。ウニ化していた熟女は、それをブスリと差して棘で受け止めると、「レディをなぐらない!」と言いながらも俺をドツキ返してきた。
俺は「やめろ」と言いそびれた上に後頭部をやられてしまい、脳震盪を起こした。すると、仰向けで泡を吹いている俺にウニババアは乗っかってきて、ウニがキャベツを食べるようにしてケツで俺の服をバクバクと食べた。
俺は素っ裸にひん剥かれてそのままケツで迎えられてしまった。「ああ!」とババアは歓声をあげている。俺は、ババアに犯している…。俺はとてつもない不快感を感じていた。しかし、身体の芯は熱い。だからか、なぜか「やめろ」とは言えない。それがなんとも情けなかった。なんだ、このテクニック?!俺は脳震盪のためか、ぼんやりと快感を貪っていた。
俺が脳震盪からもとに戻ったときには、下腹部が棘でブスブスと刺されていて、俺は痛くて目が覚めた。ババアは、「なに?私じゃ気持ちよくないの?」と言うと、「じゃあこれは!」とさらに腕に生えている棘を俺の腹や胸に刺してきた!俺は「痛い!」と叫ぶ。すると、俺の身体は背中から物凄い圧を受けたように持ち上がり、女の身体ごと天井めがけて物凄い勢いで上昇した。
「ドゴッ!」と言う音がして天井にめり込む熟女サキュバス。失神している。俺は、察した、(今度は「痛い」と俺が言うと背中のブースターが起動して跨られた状態からエスケープするシステムが追加か。これは、おそらく透明人間ズが「痛い」と聞くのが煩わしくなったからだろうな。あいつらめ。)と。
俺はとりあえず状況を回復したいと思ったので、この泥仕合を終わらせようとウニサキュバスを天井から降ろそうと椅子に乗って引っ張ったが、とげが引っかかってるのか降りてこない。
「うーらあ!」と言って引っ張ると、「バキョ!」と言って屋根の穴が広がって、ババアが落ちて来た。よく見ると、天井の木材が頸動脈を圧迫していたのか、首元にアザがあり、脈拍が止まっていた。また、死んでる。俺は、膝から崩れ落ち、「もう嫌や…。」と言った。
俺は、プスプス刺された全身から流れた血を洗うために、風呂に入った。入っている間に、また部屋が元通りに片付いていることを望みながら。
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