第5話 Accident
「痛ってえ!」飛び起きるとまた延髄あたりに痛みがした。また何かを打ち込まれたのだろう。めちゃくちゃ痛い。すると、インターホンが押される音がした。
「誰だよ!寝てるのにいきなり刺すなよ!そこにいるんだろ!」と叫ぶが、返事はない。「勝手に家に入るな!」と叫んだ後で、俺がインターホンに応じるために玄関に行くと、そこには生き別れた姉がいた。「ひさしぶり。」
噂では売れないAV女優になって、平時からビッチな性格が災いして夜な夜な男を食っているという話(ネットの記事で少し話題になっているのをたまたま目にした。)だが、なぜ、今帰ってくるのか?さきほどまた延髄を刺されたのとは関係があるのか?
かと思えば、尋常でない性欲の持ち主、俺が玄関に招くやいなや、俺の足を引っかけて倒し、「ちょっと相手してくれない?」と無理やりに俺に覆いかぶさってくるではないか。
「おいいきなりやめろ!」と叫ぶ俺。すると俺の身体は、まるで触れられないゴーストのようになり、腹違いの姉の身体をすり抜けてふわりと浮いた。そしてその後ろに実像となって俺は立った。自身の透けかけた手を見て俺は「何だこれは!」と言ったが、そのままズボンとパンティを下ろして文字通り下がってくる姉。姉の手は俺の下衣を一気にズリ下げた。
「やめろって言ってるだろ!」と叫ぶとまた姉の身体を俺はすり抜けて姉は尻もちをついた。
靴箱に乗っかった状態でまた実像となった俺は、体重がかかり靴箱が倒れた。すると姉は崩れてきた靴箱をのけ、跳ね起きて俺の股間に向かって顔から突進してきた。
俺は、やりたいような気分じゃなかったので、姉にディープに咥えられながらも、姉の肩を力いっぱい蹴飛ばした。が、「やめろ!」といいながら蹴飛ばしたもんだから、足が姉の身体をすり抜け、空を裂く。また俺はゴーストになっている。
俺のゴーストトリガーは「やめろ」と言う言葉なのかと思い、再び姉の背中を取ると、俺はすばやく壊れた靴箱から落ちたファッションで集めている靴紐を取り、姉の手足を縛ろうとした。これ以上暴れられては困る。必死でもがく姉。しかし、俺はここは「やめろ!」と言わずに堪え、ありったけの力で姉を拘束した。
そこにまたスーツ姿の男が現れた。「お前のお姉さんは、サキュバスになってしまった。お前にゴーストの能力を与えたのは、お前の家にサキュバスがやってくることを察知したからだ。こいつは、お前が殺さないと他の男を襲って殺すぞ?さあ、どうする?」と男は言った。
「勝手に家に入るな!なんなんだお前ら!」と言うと、姉がもがいた。「私たちの底のない欲動にいちいち歯止めをかけてくんのよ。私たちも殺されちゃたまんないわ!」と言った。男は、「殺すのか?殺さないのか?」と言うと、俺は、「一応これでも姉だ!殺さない!」というと男は手を銃に変えて一つの躊躇もなく姉の後頭部を撃った。サイレンサーがついていて、くぐもった『パスン』という音がした。
「おい!」と叫ぶ俺。猿のような姉は、こと切れた。
男は、何事もなかったかのように去って行った。
姉は、これまで家族とは縁を切っており、連絡をとりあうこともなかった。しかし、なんで今になってこうして俺の家に来たのか。それは、おそらく俺に恨みでもあったのだろう。誰かにではなく、俺に用があったのだ。
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