Reunion

自然と目が覚めた。

時間は11時27分

もうちょっと眠れたな...


昨日、カティルと対峙して腹を貫かれるという致命傷を負い、意識を失う前にフードの女も見つかった。

意識を失って目は覚めたものの、貫かれた腹は痛かったため、救急車に運ばれた。

救急車に運ばれる前に完全に傷が塞がれていたようで、当日のうちに退院出来たのだが、フードの女の謎がつっかかる。


その日は同窓会があったのだが、同窓会の前に家を出てフードの女を探し回った罰だと思う。


今日は家で時間まで過ごす。

もう懲り懲りだ。

腹が減ったからインスタントラーメンを食べようとキッチンに行く。

あれ...?

25日に買ったはずのインスタントラーメンが無くなっている。

炊飯器をみてもご飯は炊かれていない。

冷蔵庫を見ても食べられるものはなく、あるのは冷蔵庫の奥の賞味期限が切れている調味料だけだった。

買いに行くにも昨日のように襲われたら同窓会に行けない。

我慢しようとするが、それを拒むように腹が鳴る。

コンビニまでは歩いて7分ほど。走れば3分弱。

行くしかないか...

鍵を持って玄関まで歩いていく。

「誰にも襲われませんように...」

ドアを押し、家を出て鍵をかけ、コンビニまで走る。

不思議と身体が軽い。

昨日の足の痛さが嘘のようだった。

「はぁ...はぁ...はぁ...」


コンビニについた。

即座にラーメンをレジへ運ぶ。

いつもの糸目の店員だった。

「あ、おはようございます〜」

いつも通り話しかけてくる。

「お、おはようございます...」

挨拶を返すと、すぐに質問が飛んでくる。

「もうすぐ午後ですけど、お仕事の休憩ですか?」

人の気も知らないで...

「いえ、今日は休みなんですよ。」

「そうなんですね〜。」

お金を払ってコンビニを出る。

走って帰ろう。


なぜか、鉄の匂いがする。










いや、







まただ。


5分以上走っているのに家にたどり着かない。

同じ景色が続いている。

いつ、どこから攻撃されるかわからない。

体力温存のため、歩くことにした。


そこから、10分、15分...いや、30分以上かかっただろうか。

家の方向に向かっているはずなのに、景色は変わらない。

鉄の匂いがまだまだ残っている。


確信した。

これはカティルだけが使える能力

鉄の匂いがするのは血を使っているからだ。

なんとか探して倒すしかない。




時間が過ぎていく。

1分、1分...また1分と。


夏だからか暑さで体力が奪われる。


本気で俺を殺しに来てる...?

鉄の匂いがまだ濃いままだ。



もしかして...


鉄の匂いが濃いところに向け蹴りをする。


「カハッ...!」

昨日の男が現れた。


やっぱりだ。

鉄の匂いが濃いということは近くから血が出ているということ。

昨日、鉄の匂いがずっと濃かったのは俺の近くにいたからか...!


「どうして分かったんだ...♪」

笑いながら聞いてくる。

「さぁね...」

「まぁ、きみは死ぬんだからどうでもいいかぁ...♪」

右手を強く握っていて、昨日対峙した時はなかったはずの首の傷が見え、汗をかいて息を切らしている。

「いくぜ...?高橋くぅんっ!」

一気に距離を詰めてくる。

右の大振りのあと、左手で突いてきた。




昔、格闘ゲームは好きだった。

ハメコンボや、即死コンボ、色々な攻撃パターンがある。

日本一などにはなったことはないが、大会に出れたほどだ。






この男の攻撃パターンは単純すぎる。




男の右足が動く。

これは左足で蹴るためのフェイントだ。

「避けるしか出来ないのかなぁ!高橋くん!」

相手は左手の突きから入る。

始めてくる攻撃だが、左手の突きから右手の大振りはないと予測して足に注意を払う。

「オラァ!」

左足で腕の骨を折りに来た。



「っぶないっ!」

利き足は右と思ったが、左を使ってきたことに驚きを隠せなかった。

「ムカつくなぁ...その戦法...昨日の女みてぇだ...」

フードの女のことか?

避けて倒すようなやつには見えなかった。








男が消えた。

まだ、鉄の匂いがする。

徐々に濃くなってきている。


足音を立てないようにしているな...

その場にしゃがみ、バレないように石を取る。



すると、地面にあった石が動いた。

「そこだっ!!」

そこの少し上に向け取った石を投げた。

石は勢いを失って落ちる。

「ざんねん...♪」

後ろから声がした。


死角をとった時は...

左の突きからだ!!



前におもいっきり走る。

「チィッ...!」

相手は歯ぎしりを立て、イライラしているのが分かった。


パターンは全てわかった。





さて...






ここから「反撃」だ



相手は距離を詰めてくる。

距離を詰めてきたときは...

仕留めるために左の突きだ!

「捉えたっ!!」

それに合わせ右に避ける。

かすった...でも...!このまま...!!!


「!!」


右足を思いっきり引く。

引いて引いて引いて...


「避けないと...!」

男は動こうとする。

「なんで...!なんで動かない...!!!なんで!!」



かすった所から濃い鉄の匂いがする。

そうか。そうだった。

俺の...カティルの能力...











出た血を変幻自在に使える...



身動き取れないように血が男の足を拘束する。


「まて...まってくれ...!高橋...!」



限界まで力を溜めた足は男目掛け動く。

「やめ...!!」

ドォン!!!

重い音がなり、左腕ごと体を蹴る。

ゴキ、と骨が折れる音が聞こえた。

「ゲハァッ!!」

相手が吐く血がズボンにかかる。

「うおおおおおおおお!!」

まだ足は止まらない。

「うぇぁぉぉぉぉぉぁぁぁぁ!!」

「うぉぉぉぉらぁぁぁぁっ!!」


分厚く、硬いはずの壁が1枚、また1枚男が吹っ飛び壊れる。








音が止まったかと思えば

風景は変わっていた。

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