最終話 二人とこれから
//SE 離れた場所から聞こえる放課後の喧噪
「…………すー」//安らかな寝息
//SE 引き戸を開閉する音
//SE 徐々に近づく足音
//SE 肩をゆする音
「んー、もうあと五年。もしくは五十年……」//寝ぼけた感じで
//SE 更に肩をゆする音
「んー……。って、後輩くんか。思ったより早かったね、……ふぁー」//欠伸
「いや昨日も遅くまで仕事しちゃって。文芸誌に載せる短編なんだけどね」
「おっと、内容は秘密だよ? 発売当日まで楽しみに待っていてよ」
「ところで後輩くん」
「せっかくだから、お目覚めのキスをしてくれても良かったんだよ?」//耳元で囁くように
「ふふっ、後輩くんは相変わらずシャイだなー」
「あの日は、あんなに情熱的に抱きしめてくれたのに」//からかうように
「ごめんごめん、怒らないでよー」
「それで今日は、新しく書いた作品を読ませてくれるんだよね?」
//SE 鞄を漁る音
「どれどれ……」
// 次の場面へ
//SE 原稿用紙をめくる音
「……驚いたよ」
「うん、細かい指摘はともかくとして」
「腕を上げたね、後輩くん」
「まさか、短期間でここまで伸びるなんてね。一皮むけたよ」
「これは技術云々というより、モチベーションのおかげかな?」
「君の中で何かが変わったとしか思えないよ」
「……え?」
「ふふふ、そうか。そういうことか」
「うん、『私』はそれを望んでいるよ。君が読者から作者になる日のことを」
「もっと近い存在になることを」
「だから、君が私の想いに応えようと努力するなら」
「私もそれに応える」
「これからもよろしくね、後輩。いや」
「彼氏くん」//はにかみながら
天才JKボクっ娘覆面作家は後輩くんを逃がさない 焼き串 @karinntoudaze
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