第35話 次代の期待 アバターロボット!
大活躍の託人のスーパーロボ『
そして託人の隣のブース。
注目を
援助を求められこちらの作品を見る。
……これはヒドイ。
まずデザインが旧世代のハリボテ。予備のロボットも、ハロウィンを意識してジャックオーランタン。
工夫が無さすぎ。もう遣る気なさ満点で呆気にとられる俺。
で、次世代のアバターロボットは司令者が全ての操作をするのでなくAIが殆どの動作サポートを
大まかな指示や対話の部分だけを司令者が行うのだが……
「そのAIの作成が難しくて全々役に立たなくて、ほぼ全てを遠隔で直接操作しないと……」
「それじゃ単なるリモコンロボットだな」
「そう言われたくなくて、最悪、中に人が入れるように細工したんだ。で、バレないように身長150cmの純也用に作ったから小さい人しか入れなくて、その純也が今日、熱出して休みになっちゃって」
「中に人を入れたらサギだろ。で、誰にも注目されなかった訳か」
「でも何とかしたいんだよー!」
俺は美貴ちゃんから離れて物陰へと移り、条件付きで応援を引き受けた。好きなように任せてくれるならと。
アイデアを細かく打ち合わせしているヒマはない。俺はナレーションを引き受け、久令愛に方針だけ話すと、後は全てをアドリブでこなす事にした。
という訳で久令愛をハリボテロボットの中に仕込んだ。これは人間じゃないからサギではない。セーフだ。と言うよりAIの久令愛の性質がアバターロボット向けか?
マイクをもって早速司会する。全くホントにこんな事する柄ではないんだが、今日は何なんだ……
『皆さん、お待たせしました。本日はこちらでも隣に負けない超最新AIが登場しま~す。ただこれは未完成なので見た目は許して下さーい』
一気に託人のブースから人目がこちらへ。
「では、早速登場! 次世代の期待の星のロボット、起動!!」
『皆さ~ん、こ~んに~ちは~っ! キャハッ。ようこそ我が 『J』プロジェクトブースへ。
本日は宜しくね。私の名前は『J』で~す。応援お願いしますね~」
「さあ、このJチャン、まあ、女子高生の『J』なのでしょうか? 声は可愛いけど見た目はとても……ですが、長い髪のウィッグと可愛い声だけでそう思って貰うしかありません。
顔なんかただのモニターですしね-。今は可愛いアニメキャラを映してるので、取りあえずその子だと思い込んでください!」
ハハハ、しょーもねー、と同情まじりの呆れ笑い。
「ですよねー。さて、動きまで緩慢なこのロボットですが、何が期待の星かというと……実は僕の身代わりなのです!
AI搭載のこの子は僕のつもりで行動をサポート。遠くに居てもそれは僕なのです! お隣の格好いい自律型ロボもスゴイけど、人を越えちゃってて何か怖くないですか?
でもこの子は違う! 飽くまでも僕として動くのです」
観客たちはまだピンと来てないようだ。もちろん想定内。
「例えば今実演しますと、まず、あそこのオープンカフェに行かせます。ではJチャン、あの『女神たちのカフェ』に行ってね!」
Jチャンはトテトテとカフェに辿り着く。
「……はい、操作もせず指示だけで到着しました。
で、今度はJチャンの顔の画面に僕を映し出します一。はい今僕になりました!」
アハハ、顔が替わっただけじゃね、と冷やかし笑い。
「ですよネ-。それでは映った僕から店員さんとコミュニケーションしながら今、カフェモカを注文します。『ラージサイズを一つ下さい』……ほら、今店員さんがロボットではなく僕からの注文として捉えてくれました」
「確かにロボットの体より顔面部にあるモニタの中の人物を見て話してましたね」
と、このブースの本来の担当くんのコメントをはさませる。
「ですね~。僕はその様子をモニターやVRで体験するのです。こうやって操作してあちこち行けたら、例えば体の不自由な障害者でも遠くに旅行が行けるのです。
そして今回のようにその操作もAIが自動でこなしてくれるので、行き先を告げたり大まかな指示だけで体が動いてくれるのです」
おお~成る程~とザワめきが起こり始める。
「このようなロボを『アバターロボット』と言います! そして考えてみて下さい。その可能性が無限大である事を!
例えば単身赴任のお父さん。遠くから家族の食卓に参加、育ち盛りの小さなお子さんと会話して食事。遠くで食べててもまるで心はここにある、といった感じになります。
逆にお母さんが単身赴任先のロボットを操作して、そのお父さんと会話しながら洗濯や掃除をしたり、ご飯を作ったり。夫婦の絆も保たれるでしょう。保証はありませんが」
「なら浮気も出来なくなるかもね~」と野次が入って笑いが巻き起こる。
「遠隔地の親御さんの老人介護や医療の技術指導、災害救助、学習指導、海外旅行、あらゆる場面で人は距離を感じず様々な体験を居ながらにして行うことが出来るのです」
『いいね、そう言うの……』というザワめきが聞こえてくる。
「更に長期入院、或いはパンデミックでさえ、自分に成り代わって交流や体験が『VR世界内ではなく実生活で』行える。更に代理受験とかも」
『それはダメだろ! 』の野次が絶妙のタイミングで入り爆笑。
「いつの日にか宇宙旅行を体験してるかも知れないですね。自律ロボでは出来ません。しかも完全自律ロボットに有りがちな怖さも感じません!」
『良いじゃん良いじゃん』の声に手応えを感じる。
「そして更に発展して考えると面白い事が分かるのです。例えば地球の何ヶ国かにこうしたロボを配置すると、瞬時にアチコチで僕が活躍したりやり取りしたり出来る。
つまりは『瞬間移動』と同等な状況を作り出せると気付くのです。これって画期的じゃないですか?」
オオ~……確かに……とザワめく群衆。
実際そうなのだ。ある意味、将来、人はこの方法で瞬間移動出来るようになるのだ!!
「それでは良さを分かって貰えた所で本日のメインイベント、『究極の代理体験』 と言うものをお見せしましょう!!」
俺は天高く指を指した。一斉に誘導される目線。
「今、Jチャンには既に校舎屋上でゴム紐を付け、バンジージャンプの用意が行われています!!」
『おお~!!』
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完全に注目の的となるJちゃん=久令愛。
もし、こんなAIが人と上手く共存出来る日が来るのを応援しても良いと思う方は、♡・☆・フォローそしてコメントで加勢していただけると嬉しいです。
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