第4話

ピークックの羽根の収集の依頼


それは少し町から離れた自然であればどこにでもいる鳥の獣。


その駆除の依頼である。


ニワトリを2周りほど大きくし、茶色の真っすぐな羽根を持ち、顔と体はまんまるとして可愛らしい見た目をしている。


しかし繁殖力が非常に強く、間引かないとそれが自然から町まで下りてくるため、常に依頼が出されている。


その獣は獣というほど手ごわい相手ではない。ある程度の武装(木の棒など)で十分な相手だ。


冒険者を志す者の第一歩として有名な依頼である。


今、こうして包帯に巻かれた青年、名を「パイン」という。


彼もまた最初の依頼をこなすべく、自転車にのりその獣を探していた。


受付のお姉さんも簡単と言っていたので、このような軽装で挑んでいた次第であるが。


「どこを探しても見つからなかったんです」


長身の男がそれを信じられないといった様子で聞く


「なので ・・・・・・・ 出たついでに半日以上かけてあの森まで行きました いるかもしれないと思ったので」


男はそれを聞くとニヤニヤとなにかを考えているようだった。


「で あいつの巣に入ったって訳だな?」


「あ はい ・・・ あの羽根は えっと あのカラスの化物は退治してくれたのですか?」


急にそのことが頭をよぎり男にそう切り出す。


「しねぇよ」


「えっ ・・・」


(じゃあどうして ・・・)


「とりあえず 助けたんだ 成り行きを覚えていないのはおまえが悪い」


そう言われると何も聞くことができない。


しょうがないなと視線を落とす。


(でもまぁ あそこからここまで運んでくれて さらに介抱までしてくれたんだ ありがたい)


「あの 本当にありがとうございました ・・・」


男は黙ってそれを聞く、そしてこぶしを顎の高さまで上げ顔をしかめている。


ジージャンから突き出したこぶしにうっすら毛が生えているのがわかった。


「えと ・・・・・・ 両親にもお礼をさせます ・・・」


「それだけか?」


男がそう口にする。


自分の言った何かが男の癇に触れたのであろう、今までにない剣幕を見せる。


さらに「がばっ」と胸倉のTシャツを掴まれる。


「てめぇこのやろう おまえが動けや」


(何を言っているのだろう この俺に何ができるというのか)


だけど、この場をなんとか納めたいというのが本音。


そして何故かこの男を怒らせてはいけないと思ってしまう。


「わ わかりました ・・・ すいません」


そう言うと男は掴んでいたTシャツを離した。


「立てるならついてこい その羽根持ってな」 男がそう口にする


ふと気づくと普通に立っている。


(なんだ? 思ったより元気だぞ)


両手をこぶしの形にし強く握る、痛みはほとんどない。


「はい」


(気になるのは左耳くらいか)


こうして怪我をしているのにも関わらず、普段よりも軽く動く体に違和感を感じる。


身支度をすることもなくにあの羽根だけを持ち、すでに玄関へと向かう男の背を追いかける。

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