トゥエルブ 龍眠る世界にて 金髪青年の現実は理想を夢見る

第2話

（夢の中か？）

深く、暗い闇の中。

ぼわっと何かが浮かび上がる。

それは２メートル以上の長身の男のようだ。

何も着ておらず、鍛え上げられ筋骨が隆々としているのが見て分かる。

頭部は、しかしかぶりものだろうか、カラスの顔をしている。

（そういえば、俺はでっかいカラスの怪物に襲われていたんだったな）

考えようとしても回転が鈍く、思ったことができない。ただこの光景を見ることしか今はできないようだ。

そのカラス顔の後頭部から大きな羽根が２本生えている。

（あの穴で拾ったキレイな羽根だ）

その男が大事そうに何かを抱いている。

（あっ・・・・）

思わず口にだそうとしたが、声はでない。

白いTシャツと黒いズボンを履いた青年と思われる人。しかし顔はあちら側にだらんと垂れていて誰だかわからない。

カラス顔の男が青年らしき者の喉元に噛みつく

（うわぁ・・・・・・）

青年は噛みつかれても微動だにしない。仰向けに抱きかかえられ両腕をだらんと宙に浮かせている。

噛まれた首元から噴き出した血がその右腕を伝い滴り落ちていく。

（・・・・・・・・・・・・・・。）

すると急に明るい景色に変わった。

乾いた地面にさっきの右腕から流れる血がぽたぽたと滴り落ちている。

その血が地面に魔法陣のような円を描く。

あの羽の模様にも似ている。だが、血で描かれたそれは非常に禍々しい。

白い地面がその光景をさらに強調させている。

すると地面に黒い小さな点がいくつも動いているのに気が付く。

（ありだ・・・）

無数のありが血の魔法陣に行進している。

そこから帰ってきた先頭のありがこちらに向かってくる。

（気持ち悪い・・・・）

そして目の前までありが来る。

そいつの顎がクイと動く、また足と触覚も器用に動かしこちらの様子を伺う。

さらにこちらにそいつは近づき、体の隅々まで見ることができる。

（こっちにくるな　気持ち悪い）

顔をこちらに擦り、細い触覚と足が視界の手前まで入ってくる。

（（うわぁああああああああ））