幕間【Ⅲ】 カラバ家の三兄弟

 先のゴブリン大戦はミミット王国に甚大な被害を与えたが、特にロークビ高原と境界を接しているミミット王国の北方においては壊滅的と言えるものだった。

 家も家畜小屋も壊され、田畑は踏み荒らされた上に、食糧庫の物資は種籾すらも全て食い荒らされていた。それでもまだ住民の避難が間に合った地域はマシな方で、なんとか帰って来て貰えれば、復興の道もあるだろう。

 しかし、逃げる間もなくゴブリンの軍勢に襲われた村や都市は、もはや帰って来る民もおらず、そもそも領主の一族も揃って戦死し、完全に廃墟と化していた。実のところ功績を立てた戦業士達に爵位と共に与えられたのは、こうした廃墟地域だったのだが・・・。


 もちろん、王国政府も北方諸侯に対して全力で支援はしてきたが、どうしても軍事的あるいは経済的に重要性の高い都市や領地を優先することになる。それは国家の政策として実に正しい判断だったが、後回しにされた地域は悲惨であった。


 領地内の財産を全て失ってもコネやツテで借金をし、復興の種銭を引っ張ってこれる有能な領主は良い。だが、そうでない領主は領民どころか己の家族すら食わせることができないほどだった。当然、そんな状況下では多くの部下や一族郎党、兵士や騎士を高給で雇い続けることなどできようはずがなく。


「そういうわけで、我がカラバ騎士家も長らく捧げて来た忠誠心の甲斐無く、5代にも渡って仕えてきたキガス伯爵家から解雇されてしまったわけだが・・・」


 薄暗いあばら屋の中、屈強な体躯の中年のヒュムフの男が焼け焦げた跡の残る机に両肘をつき顔の前で手を組む。壊れた天井から差す太陽光が、白髪交じりの彼の髪に照り付けていた。

 男の背後ではガタンッ、ガタンッと水車の機工が衝突音を打ち鳴らし、ライ麦粉を挽く臼を回している。


 この男の名はラドン・カラバ。元騎士である。今は零落して、水車小屋を改修し、粉挽き屋となっていた。昔は同僚騎士に馬鹿にされたものだったが、ラドンに絡繰りを弄る趣味があったのは不幸中の幸いであった。もしそれが無かったら、彼は盗賊にでもなっていたかもしれない。・・・実際、元同僚の騎士が盗賊落ちして捕まり、処刑された話も聞く。人生、何がどう作用するか分からないものだ。


「まあ、それは良い。詮無いことだ。キガス伯爵家の窮状を思えば受け入れるより他はない。我が家だって全ての従士家に暇を与えてしまったのだからな・・・。しかし、問題は新たな士官先だ。これが無い。まあ、当然だ。今は我が家だけでなく南方に士官先を求める者たちが行列を作っている」


 ラドン・カラバは深くため息をついた。

 そして机の反対側に雁首を揃えて座っている三人の息子たちを見つめる。三兄弟は父親の睨みつけるような眼差しを受けて、落ち着かないようにソワソワした。それを見て再びラドン・カラバはため息をつく。


「で、俺はもう諦めた。・・・もし10歳若かったら、もし足のケガが無かったら、違ったかもしれないが。しかし、残念ながら俺の心は俺の体よりも先に老いてしまったらしい。今の生活に慣れてしまった。野望の火に薪をくべずとも、なんとか食いつないでいく生活基盤を手に入れてしまった。不幸なことにな」


 絞首台に吊るされた元騎士や人買いに家族を売った従士などが聞けば、なんという贅沢なことを、と怒るかもしれない。だが、まさに彼らと比較して自分はなんと幸運だろうかと思ってしまった瞬間、ラドン・カラバは悟ったのだ。自分はもう騎士ではなくなったと。


「だが、お前らは違う。これからだ。お前たちには才能がある。意志もある。・・・しかし、ここでずっと泥の中に浸って生活し、それを当たり前に感じ始めたら終わりだ。だから、俺は決めた。三人とも、今日限りで家を出ていけ」

 ラドン・カラバは最後の言葉を言う時だけ、そっと目を伏せた。


 バンッと机が激しく叩かれる。

 長男のクリプトンだ。立ち上がるとヒョロリとした長身の痩躯が印象深い。

「急すぎる。いきなり今日出て行けって・・・いったいどこに行けば良いって言うんだ。親父が言った通り、この御時勢じゃ、騎士見習いの仕官なんてどこも断られる」

 クリプトンはそう吐き捨てると、彼の黄土色の髪を掻きむしった。


「ああ、そうだな。仕官はとても無理だろう」

 あっさりと認めた父親の言葉に、クリプトンは唖然とする。

「・・・だったら、どうしろと?」

「野心の火を燃やせ、クリプトン。お前ならできる」


 父親の発言を受けて、更にクリプトンは激昂しかけるが、その肩をポンポンと叩く者がいた。次男のアルゴンである。


「まあまあ、兄貴。そうカッカするなって。親父は俺たちを心配して本当のことを言うのを躊躇ってるんだろうさ。なんせ、俺たちは騎士の家系だからな」

 落ち着いた口調で話すアルゴンは突き出た腹の肉をパンパン叩く。しかし、アルゴンの四肢が貧相なのを見れば、決してその肉体が健康的な太り方をしていないのは明らかだった。


「アルゴン、それはどういう意味だ?」

 クリプトンは腕組みして自分の弟を見下ろす。アルゴンの焦げ茶色の頭髪は、中央に小銭ほどの小さなハゲがあった。普段は上手く髪型をセットして隠しているのだが、今日は忘れてしまったようだ。


「それはたぶん・・・」

「いい、アルゴン。俺が話す」

 アルゴンが推測を話そうとしたところで、ラドンが遮った。


「先日、北部総監から手紙が来た。近々、ミミット王国は教会や他国の支援の下、ロークビ高原の開発を行う予定らしい。非常に危険だが、防衛及び資源採集の観点からは得られるものが大きいと踏んだのだろう。まあ、そんな博打でも打たないと現状の困窮を打破する手が無いんだろうが・・・。それで北部総監は、その開発部隊に失職した騎士階級を登用したいらしくてな。勧誘相手は俺だったが、代わりにお前たちを推薦しておいた」

「聞いてないぞ。そんな話!」

 父親の一方的な根回しにクリプトンはキリリと眉を吊り上げる。

「怪しい話だな。ロークビ高原なんて騎士より戦業士達の方が詳しいし、向いてるだろうに。俺たち、のこのこ出向いたら体よく処分されるんじゃねえの?」

 アルゴンも冗談めかしてニヤッと笑いながら、父親の判断に疑問を呈した。

 しかし、ラドンはそんな二人の息子の反応を意に介そうとしなかった。


「政府には政府の思惑がある。元手が枯渇している状況での新領地の開発だからな。安く人手を集めるには相応の餌が必要だ。そして、現状の王国政府がばら撒けるのは爵位と、未だ存在しないロークビ高原の新領地くらいのものだ。だが、ミミット王国政府としては、どこの馬の骨とも分からない戦業士達よりも、失職中の由緒正しい騎士達が開発地の領主になることを望んでいる・・・ということだろう。もちろん、不審な点も多々あるが、虎穴に入らずんば虎子を得ずだ」


 ここからカバラ騎士家が再興するには、大博打を打つ必要がある。そして、その博打の機会がようやく訪れたのだ。ラドンの勘は、この開発計画には何か裏があると囁くが、それでも賭けざるを得ないのだ。チップは彼の大事な三人の息子たちの命である。死神とポーカーゲームをするようなものだが、着席する以外の道はない。


 父親の真剣な眼差しを見て、どうやら冗談でも何でもなく、本気らしいと見て取ったクリプトンとアルゴンは互いの顔を観合う。

 と、クリプトンはその長い足を突き出して、いまだ何の発言もせず縮こまっている末の弟の椅子を蹴り飛ばす。

「うわぁ」

 慌てて立ち上がったのは、三男のネオンである。頭の上に黒髪の間から猫耳が生えている。他の家族が皆ヒュムフであるのに対して、ネオンだけがケットシルフの母方の祖父の血が隔世遺伝を起こしていた。


「おい、ニャンコ。お前もなんか言ったらどうだ」

 クリプトンの刺々しい眼つきに、ネオンは元から小さい体を更に小さくする。

「えっと・・・旅立つのは、療養所のお母さんのお見舞いをした後でも良いかな?」

 頬を掻き掻きネオンが尋ねるも、

「ダメだ。キセノに会ったら、泣いて引き留めるに決まっている。もしかしたらショックで病気が悪化するかもしれん。だから会うな。お前たちに渡す荷物は既にまとめてある。今すぐ北へ向けて出発しろ」

 ラドンの返答はにべも無かった。

 そして、それぞれ三人の前に革袋と外套、剣、ペンダントのセットを並べる。


「な、何言ってんだよ親父。今生の別れになるかもしれないのに」

 これには流石にアルゴンも驚き抗議したが、

「これ以上グズグズ言う奴は俺から支給する旅費を半分に減らす」

 と、ラドンにぴしゃりと言われて押し黙る。


「革袋には銀貨を4枚入れておいたが、決して余裕のある金額じゃない。余計な寄り道をして散財など決してするな。それと、このペンダントは身分証代わりだ。無くさないように注意しろ。最北の城砦都市ピレネスに着いたら役所に行って、ロークビ高原開発計画の責任者との面会を申し込め」

 ラドンは淡々と事務的な口調で息子たちに指示を出した。


「おい。もっと他に言うことは無いのか?」

 クリプトンが怒気を孕ませて再び机を叩く。

「・・・そうだな。財布は紐で体に縛っておけ、すられる」

「そういうことじゃねーよ。俺たち、親父とだってこれが最後の会話になるかもしれないんだぞ!」


「・・・だから、何だ? 感動的なハグや涙が欲しいか? それとも根も葉もない激励か? 欲しいならくれてやってもいいが?」


 ラドンの言葉にクリプトン含め三兄弟はみんな唖然とした。

 しばし、沈黙が場を支配する。


「ちっ。まじか・・・」

 クリプトンはそれだけ言うと、さっと自分の分の荷物を引っ掴み、荒々しく扉を開けて水車小屋を出て行く。

「あ、兄貴、ちょっと待ってくれよ」

 慌ててアルゴンも荷物を抱え込むと、クリプトンの後を追う。


 ネオンも二人の兄に置いていかれないように、急いで外套を羽織ると荷物を抱えて外に出ようとした。

 が。

「ネオン」

 後ろから、ラドンに呼び止められる。

 ネオンはビクリと立ち止まって、父親の方を振り返った。ラドンの険しい表情からは、腹の内で何を思っているかネオンにはさっぱり分からない。

「お前の革袋には、お前の祖父のヘリウムから預かっていた竪琴が入っている。銘は【せせらぎ】、正しく弾けばあらゆるものを眠りに誘う・・・らしい。俺はついぞまともに使えなかった」

「そ、そうなんだ・・・」

「・・・」

「・・・」

「どうした? 早く行かないとあの二人に置いて行かれるぞ?」

「・・・えっと、じゃあ、行ってきます。・・・お父さん、またね」

 ネオンはそう言って手を振ったが、ラドンは返事をせず腕組みをしたままだった。


「おい、ニャンコ! 早くしないと置いていくぞ!」

「え、待ってよ」

 外からクリプトンの怒声が聞こえて、ネオンは慌てて水車小屋の外に飛び出したのだった。時折、小屋の方を振り返りながら。


♦ ♢ ♦ ♢ ♦


 とまあ、そんな感じで家を追い出されたのか、飛び出しのかも分からない感じで三兄弟の旅は始まった。

 世間慣れしていない兄弟の旅は、最初のうちは実に苦労の連続だった。金額交渉では足元を見られて吹っ掛けられるし、クリプトンが騎士家の嫡子であるという自負心を発揮する度に地元のヤクザな連中とトラブルを引き起こし、普段冷静なはずのアルゴンが可愛い女の子のイカサマ師に有り金全部騙し取られたり、宿場町の大部屋で雑魚寝していたネオンがゴロツキ達に襲われて娼館に売られそうになったり。七難八苦である。


 それでも未だ金があるうちは良かったが、とうとうピレネスの二つ前の都市フォレタの目前で三兄弟は深くため息をつくこととなった。


「入城料は一人5レムスらしい。・・・俺の財布には1レムス銅貨が2枚しかない」

 入城待ちの列で聞き込みをしてきたクリプトンが苦い顔をして兄弟たちの下へ帰って来る。

「僕も4レムスしかないよ」

 ネオンも肩を落とし、

「面目無い」

 アルゴンが恐縮して縮こまる。まあ、当然だ。これほど早く金欠になったのはアルゴンが早々に無一文になってしまったのが大きいのだから。


「今更言っても詮無いことだ。・・・けどどうするよ? 都市に入れなきゃまともな仕事も受けられないから、金を稼ぐこともできないぞ」

 クリプトンが頭を掻きむしる。

「責任取って俺がまともじゃない仕事を探して、なんとか9レムス用立ててくるよ」

 アルゴンの言葉にクリプトンもネオンも一瞬反対しようとしたが、結局言葉を飲み込んでしまった。現実的に考えて他に方法が無かった。

「まあ、連帯責任って奴だ。三人で3レムスずつ稼げば良い」

「そ、そうだよ。アルゴン兄さん。値切り交渉とかはアルゴン兄さんが上手くやってくれたから、ここまで来れたんだから」


 とは言え、そう都合よく都市の外で仕事が受けられるはずも無く。

 三兄弟はフォレタの城門前で通行人や荷馬車なんかに声をかけて仕事を探すが、皆一様に胡散臭そうなモノを見る目で追い払われる。

 そうこうするうちに三人ともクタクタになって地面に座り込んでしまった。


 と、そこへ。


「もしもし。皆さんはひょっとしてお金にお困りですか?」

 と、声をかけてくる者がいる。


「はい、その通りです!」

 とクリプトンが慌てて立ち上がって声の主を探すが、周りには自分達三兄弟以外には人っ子一人いない。

「おや、俺はついに幻聴が聞こえるようになったか?」

「いや、兄貴。俺も確かに『お金に困っているか?』という声を聞いたよ」

 アルゴンも立ち上がってキョロキョロとあたりを見回す。


「こっちです。こっちですよ」

 と、また同じ声がする。

「どこだ、どこにいる?」

 クリプトンとアルゴンは必死になって木陰や岩陰を覗くが、声の主はさっぱり見つからない。


「ねぇ、兄さんたち。もしかして、この狐さんじゃないかな?」

 と、地面に座ったままのネオンが直ぐ傍にちょこんと座っている黄金色の毛並みの狐を指差した。

「何を馬鹿な・・・」

 と、クリプトンが呆れてネオンを詰ろうとしたが、

「ええそうです。私です。是非皆さんに仕事を依頼しようかと」

 と、狐がしゃべった。


「おい、兄貴。ネオン。直ぐソイツから離れるんだ! しゃべる狐なんて魔物に決まっている。それに尻尾が4本もあるぞ」

 さっと距離を取って剣を構えたアルゴンが、他の兄弟に警戒を促した。

 クリプトンも慌てて剣を構えるが、ネオンは動こうとしなかった。


「狐さん。狐さん。僕たちフォレタに入城するお金も無くて困っているんです。でも決して、狐さんが鶏小屋の鶏を盗むのを手伝ったりとか、他人様の御迷惑になるようなことはできませんよ」

「おや、そんな下品な仕事ではありませんから、安心なさってください」

「こら、ネオン。魔物の言葉なんて聞くんじゃない。どんな企みがあるか分かったものじゃないぞ」

 狐と会話し出したネオンにアルゴンは慌てて忠告する。


「それはそうだけど・・・お金を貰えるかもしれないんだから、仕事内容を聞くくらいなら」

「馬鹿言え。離れろニャンコ。そんな怪しい話に乗らずとも、ソイツを殺して肉と毛皮を売れば、入場料くらいは優に稼げるはずだ」

 クリプトンが剣を構えてジリジリと狐に近づく。

 一方、そんな物騒なことを言われても狐は顔色一つ変えず、うんうんと頷いている。

「ええ。ええ。お二人とも、実に無難で正しい判断ですね。ええと、あなたは、ネオンさん・・・で宜しいですか? ネオンさんもお二人のお兄様方のようにもっと疑り深くならないと、世間に出たらあっという間に身ぐるみ剥されてしまいますよ」

 と、あろうことか、狐のことを信頼しようとしたネオンを諭す始末だ。


「ほら見ろ。白状したぞ!」

「いえ。今言ったのは一般論です」

 アルゴンが激昂するも、狐は実に澄ましたもので。

「まあ、兎にも角にも、皆さんはお金が必要。私は労働力が必要。お互い必要なものを交換する。これぞ市場原理と言う奴ですよ。あと、言っておきますがね、私を殺して毛皮を剝ごうなんぞ、貴方達には十年早いですね。まあ、疑うというなら戦って差し上げますが、その代わり貴方達の方が私の今夜の夕食になっても構わないならという条件付きでね」

 狐はピンッと張った自分の髭を撫でつけると自信たっぷりにそう言う。クリプトンとアルゴンは互いに目を合わせ、ジリジリと狐から距離を取った。強そうには見えないが、得体の知れない相手だ。どんな秘術で皿の上に乗せられるか分かったものではない。


「狐さん、それで仕事の内容は何ですか?」

 ネオンは狐の脅迫を意に介さず、なおも質問を続ける。

「ふむ。……私が頼みたいのは、このフォレタ市の中にあるオネムリという宿屋に泊って、そこに飾られている大きな真鍮の鍵を買い取ってくることです。蛇が巻き付いたような装飾があるので直ぐに分かるでしょう。もちろん、買い取り資金はこちらで提供しますので、安く買い叩くことが出来ればその差額分は全て貴方達のポケットに入れてしまって構いません」

 そう言って狐はどこから出したのか、ポンッと革袋を投げ出す。


「アウル金貨3枚、デナル銀貨6枚、レムス銅貨9枚を入れてあります。勿論、偽造なんかじゃありません。本物ですよ。これだけあれば足りると思いますが、もし足りなければ明日ピレネスへ行く北の道で待っていますから、そこでもう一度お金を渡しましょう。足りたようなら、鍵を私に渡してください。後払いで成功報酬もお支払いします。それで皆さんはそのまま自由に北への旅へ、懐を暖かくして出発できるというわけです」


「胡散臭い話だな」

 クリプトンは顔をしかめた。

「いや、受けよう。兄貴」

 だが、何を思ったかさっきまで反対していたアルゴンが乗り気になる。

「兄さん。合法的なお使いだよ。心配いらないさ」

 と、世間知らずなネオンは当然賛成する。


 クリプトンは金の入った革袋に目線を落とす。途端、ぐぅーと腹が鳴った。


「くそっ。分かったよ。鍵を買ってそれをお前に渡せばよいんだな? 他には何もしてやらないからな。何か裏があってみろ、タダじゃ置かないぞ!」

「さて、そのセリフが私のモノにならなければ良いのですが」

 クリプトンの脅すような文句に、狐は意味深なことを言うとさっと身を翻して森の中へと駆けこんでいった。

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2024年9月20日 21:00
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生首だけで異世界転生 ~首から下は邪神に食べられました~ 井太刀西兎 @westrabbit777

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