第21話立派な仏壇社員

しかし早坂藍は物怖じしなかったから営業電話は、意欲的に幾らでも掛けられた。


「ワザワザ電話くれてありがとうねえ、ちょっと話を聴いてくれるかいなあ?」


ビンゴ! 心躍った。

「はい、直ぐ行きます徳永様!お疲れの出ませんように。」


謹んで依頼を受けた早坂藍はさして仏壇販売に繋がらないであろうことでも謹みを羽織って引き受けた。


「はい、西多門の千鳥台ですね、四時に伺いますから。」


念誦、白手袋、黒ネクタイ、袱紗礼服・・・。


いそいそと用意を終えこの度は・・・。


と言うような暗い神妙な落ち込んだ顔面に整え、鏡の前で涙を一粒流してみた。


「これで完璧ね、私は完璧な仏壇店の立派な社員だわ。」

 し

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