第15話 慟哭

「訳ありッスオレ!」


腕組みの町子が、シコを踏む様に両脚を広げた。


「なに言うが!?」


「アタシと言わんね!それからシコを踏まんね?」


両膝に掌を置き腰をグイッと入れた!


「デリバリーは、シコるダケやきネ!」


何となくダケシコルの全容が見えて来た早坂藍だった。


「顔がボコボコ!」

「口が開かないし、飯も食えない。」


 何も言わずに宙を見ていた。


六車久美の最愛の恋人、藍をこんなに傷めつけた池永奈緒美への復讐は容赦なかった。


「池永奈緒美よオ~。死んでもらいまっせ!」


左フック!右ストレート!シュパアーン!


鼻骨が折れ放射状に飛沫した池永奈緒美の・・・、これが最初の出血だった。パーーン!


顔面に炸裂した正拳突きの威力は池永奈緒美のボディを持ち上げるだけのパワーを持ち合わせていた。


恐怖のベクトルはこれだけではなかった! 


倒れた池永奈緒美の止めを差すべくトゥーキックが炸裂した!


一分間に百数発のキックはピストルの弾丸よりもパワフルだった!


胃・小腸・肝臓・大腸・膀胱・腹部破裂及び内臓破裂の為、出血性ショックで、にぢと目覚めなかった!


 「藍・・・オマエの仇を討ってやったよ・・・。」


藍は、何も言えずに涙に暮れていた。


 六車久美の足許にすがり付いた藍を県警の機動隊員が二人を引き離して・・・これが藍の慟哭の始まりだった・・・。


池永奈緒美傷害致死事件・・・。懲役11年の実刑判決だった。


 藍は人生が絶望的とまで言われたが、奇跡的にも覚醒し、壮絶なリハビリを乗り越えた。

それと言うのも六車久美の帰りを待つ為でもあり、出所したら藍は、六車久美に尽くすつもりで生活を始めたばかりのゲス男の出会いはササイケデリックだった。

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