第7話急いで別れた男

ベッド上の藍は、赤子の如く身体を反り返して両手を快楽にピクピクと掴んだシーツのその一点に集中して目を閉じていた。

 透明な藍を見たらそそり立つ。

誠司の分厚い胸板まで藍を手繰り寄せ身体の熱気に包むと両腕に力を込め、「あ、でる・・・。」愛してるともこれで終わりとも取れる三文字を情熱的に放った!背中越しの藍の表情は、見えないがどんな面持ちなのか察しが付いていた。

 微動だにしない藍の白い背中はツルツルだが所々赤く唇の跡が着いていた。

 あまりの愛しさとあまりの美しさに負けた誠司の唇が藍の背中を強く吸い続けたからだった。

 迸った誠司は赤い斑点を数えながら史恵の左肩に誠司の左手を伸ばし、そっと引いてみた。

 藍がクルリと向き直るまで、そんなに力を入れずに済んだが、誠司の思いに反してブルーの両眼から溢れた涙を拭うことのしない藍がそのままの表情で、「このまま貴方を殺したら私が、貴方にとって貴方の最後の女になるのね?」唇を歪めて嗚咽していた。

 そのラヴは、デリバリーで始まった。

何気にコールした誠司の注文は、一時でも愛をくれる淑女の様な女の子だった。

 初出勤の早坂藍は、緊張した面持ちで「こんばんは初めまして私、亭主がいるんですの・・・。」

「何を守りに入ってるの?注文を聴いてくれた?」

「イキなりそれじゃあ白けるよ!」津山誠司は探検家でもあった。

 故に人の世の間隙を探検するのも社会勉強と考え果敢に挑んで来た。


「しまった時間だ!」慌てふためいて衣服を着ると「今までありがとう。」

「じゃあさようなら。」

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