第1章 1-4 喪失 

【現時点では流れが思い浮かばないのでこの部分は仮です。】その揺れで炭鉱の約7割が失われた。その7割に母親がいたのだ。アマンドは兄弟や親せきがいなかったため、その事故で天涯孤独の身になった。幸いにも岩盤事故で残った3割の炭鉱で働くことができたため、食いつなぎ生きていくことはできる環境だった。彼の担当は、改めて言うが、使える石炭と使えない石炭を見分けることだ。彼の仕事には定評があった。

 一方で、心の支えだった母親を失ったアマンドは、なかなか、心にかかった雨雲のような不安や絶望感を振り払うことができなかった。それほどまでに彼女の存在が大きかったのだ。ただ、彼は毎週母親と通っていたネイショナルミュージアムへ行くことをやめなかった。そこで彼は館内を回るのではなく、『偉大なる獅子達の行進』を毎回、毎回、何時間も観ていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る