第10話 吸精 ~奴隷少女と、“サキュバス”娘~

※この作品には過激な表現を含みます! ご注意下さい。







『今度は、キミが、ボクを満足させてよ~?』


 緑髪で褐色肌の盗賊娘が、若者を柔らかなベッドに誘う。

 高級宿の大きなベッドには、大きなタオルが広げられている。

 糸目の褐色娘は、柔らかな笑みを浮かべて、若者を手招きしている。


「“ジョン”~? 早く来てよ~。」

「はい。わかりました。“ストレッチ”の続きをしましょう。」

 仰向けに横たわる美しい少女の膝に、“ジョン”は、顔をうずめた。


 ゆっくりと舌先をまわし、優しく愛撫する。


 しばらくして、盗賊娘は、腰を浮かせ、満足したようだ。

 若者は、少女の様子を見計らい腰を入れようと、膝をついた。


 ズッ、ズッズッと腰を動かす。

 お互いに、体のストレッチを続ける。



「ねぇ、キミ、気持ちいい?」

 少女が喘ぎながら、小さく低い声で尋ねる。


「はい、気持ちいいです。」

「私も、気持ちイイわぁ~。」

 少女は優しく、耳元でささやく。


 ・・・?


 また、何かの“魔法”が発動したような気がする。

 上位魔族にしか、扱ないような、高度な魔法の気配。

 “マナ”だけでなく、何か吸われているような違和感。



 ・・・ああ、やっと思い出した。


“これ”は、この“魔法”は、覚えがある!

“ミストニック大学”で、嗜虐的な“貴族令嬢”に、試し打ちされた魔法だっ!



 まさか、“レベル・ドレイン”。


 成長に必要な“経験値”を、目の前の相手から、無理やり奪う“禁忌”の魔法だ。


 もしかして、“マナ”だけでなく、ステータスの一部や、“スキルポイント”ですら“奪われている”のでは?。


 熱気の中、急に背筋が寒くなり、身体を引き抜こうとする。


「んっ?こんな極上の“マナ”、逃すわけないでしょ~。」

 褐色娘は、足を若者の胴体に巻き付けて、交差させる。


 細い足で若者を拘束し、身体を離さない。


 少女がグッと体に力を入れ、細身の肢体が、若者に吸い付く。

 ギュッ、と大事な部分が、締め付けられるのを感じる。


 盗賊娘は起き上がり、若者の首に手を回すと、身体を上下させ始めた。


「気持ちイイところが、あったらぁ、言ってねぇ~?」

 若者の表情を確かめながら、上下左右に身体を動かす。


「んっ、“ここ”かなぁ~? “ココ”が、イイのかなぁ~?」

 緑髪の少女は、顔を上気させ、激しく腰を動かし始める。


 パン、パン、パンと乾いた音が、連続して部屋に響き続ける。


 やがて、“ジョン”は、腰を上下させる少女に応えるように腰を振り始めた。


 若者は、頭が真っ白になり、腰がとろけるような感覚を覚える。

 二人マッサージに込める力に、熱が入る。


「イイっ! ッ、凄くッ、“イイ”わっ!」

 褐色娘は体を反らして、小声で叫ぶように、喘ぐ。


「あッ、そこぉ、もっとぉ、突いてぇッ!

 もっとぉ、奥までぇッ!」

 ねだるように悶える少女は、再び、あおむけに横になり、体を震わせる。


 たまらず、若者は、少女の腰を掴むと、“マナ”を奥深くに注ぎ込んだ。

 少女が、激しく抱き着き、若者に体を密着させる。


 2人の心臓の鼓動が、激しく脈打つのを、お互いに感じる。

 褐色肌の美少女は、細い腕を若者の首にからませ、しばらく離そうとしなかった。





 やがて、2人はシャワーを浴び、ベットに横になった。


 しばらく、少女は、他愛もない話を続けたあと、突然、話題を変えた。

「ところで、さァ。」


「キミは、“心と体を、犯しつくされた者”だけが持つ顔をしているよ。

 絶望し、この世の全てを、諦めた顔。


 まるで、ゴブリンの巣穴で見つかった女の子みたい。

 なのに、“初物”なんて、とっても“不思議”いや“幻想的”かな?」


 盗賊娘の言葉を受けて、“ジョン”は、ベッドの大きな鏡で自分自身の顔を見る。

 金で縁どられた大きな鏡に映るのは、無表情で生気のない、虚ろな瞳だ。


 地下牢獄での凄惨な日々。

 彼の表情は、すっかり“昔”の顔に戻っていた。


 笑わなくては。無理やりにでも。

 生き延びるために。


『 “つらいときこそ、笑顔” だよ?』


 世話になった女囚の言葉を思い出す。

 俺は、彼女の分も、生きなければ。


“ジョン”は、顔にぎこちない笑顔を浮かべ、盗賊娘の“ティン”に話しかける。


「僕は、この“ゲーム”で、3回以上、“負け”ました。」


 若者は、顔に笑顔を貼り付けたまま、話し続ける。


「それで、ペナルティの“もうけ話”について、教えていただけますか?」

「ああ~。そうだったね~。ええとね~。」

 ティンは頭を掻きながら、言いよどむ。


「“ジョン”君、折り入って、お願いがあるんだ。」

 盗賊娘は、若者の瞳をまっすぐ見つめ、改まった風に語り掛ける。



「ねえ、坊や、うちのパーティに入らない?ボク達のパーティ、“時の猟犬団”に。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る