7.いつかまた

 ここはどこだろう。


 下には真っ白な世界が見える。


 ぼくは誰だろう。


 わからない。


 何も覚えていない。


 でも、こんなことがつい最近あったような気がする。


 真っ白な世界。


 何もない世界。


 分からないけれど、なんだったかなって考える。


 そうしながら、ぼくは必死につばさを動かしていた。


 周りにはぼくと同じようにしている子たちがたくさんいた。


 だけど、みんなぼくとは違う見た目をしている。


 ぼくみたいな真っ白なつばさも無ければ、ぼくほど大きくもない。


 ふと、ぼくはみんなよりも遠い存在だったんじゃないかなんてことを思う。


 でも、やっぱりわからない。


 そう、わからないことだらけだ。


 だけど、ひとつわかることがある。


 ぼくは、何かを────いや、だれかを探している。


 それがだれかは分からないけど、それでも、この空を飛び続けていたら何かがわかるような気がした。


 だから、それだけを信じて飛び続けてみよう。


 青い海を越えて、無限に広がる大気をこのつばさで切って、この空を駆けよう。


 その道中で、いつか貰ったあたたかなものを返しながら、旅をしていこう。






 そしていつか、たいせつなあの子のもとへ────



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る