第4話 音楽で繋がる人々

ひかりちゃんの初めてのステージが成功した後、彼女の名前は町の中で少しずつ知られるようになってきた。ライブハウスの常連客から「あの日の歌、素晴らしかったよ」と言われることも増えてきた。

ある日、老人ホームの職員がライブハウスを訪れ、「我々の施設で、少し演奏していただけないでしょうか?」と田中さんに頼み込んできた。田中さんは「ひかりちゃん、どうだろう?」と彼女に提案する。

ひかりちゃんは、迷わず「もちろん、喜んで!」と応じた。

老人ホームでの演奏日。多くの高齢者たちが集まり、彼女の歌を楽しみにしている様子だった。彼女は心温まるフォークソングを数曲演奏し、観客たちは彼女の歌声に心を癒されていた。

演奏が終わった後、一人のおばあさんが近づいてきて、ひかりちゃんに語りかけた。「あなたの歌、とても素敵だったわ。あのメロディ、昔、私の夫がよく口ずさんでいたの。彼もギターが大好きで、あなたのように弾いていたのよ。」

その言葉に、ひかりちゃんは涙がこぼれるのを感じた。「私の歌が、あなたの大切な思い出と繋がっているなんて、とても嬉しいです」と感謝の言葉を述べた。

その日の夜、ひかりちゃんはギターを手に取り、新しい曲の作詞を始めることにした。彼女の心には、音楽を通じて人々と繋がる喜びがあふれていた。

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