第19話 ディーネが可愛すぎます!

「よし、できたぁ! 試しにホーラを見てみると良いよぉ」


「はい、わかりました」


 ディーネが言う通りにホーラのほうを見てみると、心臓の辺りに揺れ動く赤色の強い紫色が見えます。この色にはどんな意味があるのでしょうか?


「赤色の強い紫色が見えますね」


「それはね、ホーラの魔力の色なんだぁ。私もだけど、四大精霊っているでしょ? その四大精霊から魔力の器へ属性が、与えられるの! 火が赤色で、水が青色、風が緑色、地が黄色なんだよぉ。属性は混ざるから、誰一人として同じ属性の人がいないんだぁ」


「そうなのですね。ホーラは火と水が混ざった属性ということでしょうか?」


「うん、そうだよ!」


「一つ気になるのですが、私の属性は何色なのでしょう?」


「微妙だけど、灰色かなぁ? 全部の属性が混ざってるからだね! うぅん、そうだなぁ。ノウィーお姉ちゃんだったら、精霊術も使えるかも?」


 〈エクストラクエスト〝精霊術を覚えよう〟が発生しました〉


 精霊術は魔術とは違うようなので、楽しみですね。問題が解決していないので、教えてもらうことはできませんが。この問題が解決したら、教えてもらいましょう。


「私もマルと同じように、ノウィーお姉ちゃんと一緒にいたいなぁ。そうだ、わたしと契約してほしいな! 新しい項目を増やしておいたから、契約できるよぉ」


 〈契約師に精霊契約の項目が増えました。ウンディーネからの契約申請を受けました。申請を許可しますか〉


「許可します」


 〈申請を許可しました〉


「やったぁ! これからずっと一緒だよ!」


 ずっと顕現できるわけでは、ありませんよね? ずっと一緒にいることはできないと思うのですが。


 私とずっと一緒にいたいと思ってくれることは、とても嬉しいです。


 〈契約したことによって、ウンディーネが顕現状態を保てるようになりました〉


 そういうことですか。顕現状態を保てるようになったということは、ディーネは完全な力をいつでも使うことができるということでは?


 ディーネになるべく力を使わせないようにしましょう。大変なことになりそうですから。


「役に立ちそうだから、契約師のこと教えておくね! 契約師って相手の許可を取れれば、魂さえも契約で縛ることができるんだぁ。犯人を見つけたら、契約で縛ると良いよぉ。新しい器も用意できるしねぇ」


「新しい器ですか?」


「新しい魂の器ってことだよぉ。契約で魂を縛ると、その魂を移す器が必要になるんだぁ。器に移ると理想の姿になるから、移りたいって希望する人も昔はいたなぁ」


 ディーネのニュアンス的に私が思うよりも、大昔のことなのかもしれません。


 ホーラがいたので顕現させることができましたが、今では顕現させる方法を伝えられていないようなので、顕現させることができないでしょうし。


 それに、顕現させる方法を知っていたとしても、魔術が使えないでしょうからね。


「そういえば、もう寝る時間だよね? わたしも一緒に寝ても良い?」


「駄目です。ウンディーネ様には、まだ隠れてもらわないといけませんから」


 ホーラが私よりも早く答えてしまいました。私は良いと思ったのですが、ホーラの言うことも一理あります。


 ディーネ様のことが知られてしまえば、ウェスペルかカエルムの中にいる誰かが隠れてしまうかもしれませんし。


「この件が片付いたら必ず一緒に寝ますので、もうしばらく我慢してもらえますか?」


「うぅん、わかったぁ! 終わったら、絶対に一緒に寝ようね!」


「はい、もちろんです。この件が片付いたら、一緒に寝ましょうね」


 ディーネを撫でてあげます。瞳がとろりとしている姿は無防備で庇護欲をそそられます。


 誰かに誘拐されてしまいそうなほど可愛いです。いっそのこと、閉じ込めてしまったほうが良いのではないでしょうか?


 はっ、危ない思考になってしまいました。ですが、それほどまでにディーネは可愛いのです。


「じゃあ、おやすみ。ノウィーお姉ちゃん!」


 頬にキスをして、去っていきました。可愛い…一緒に寝たいです。頬に手を当てて、しばらく呆然としてしまいました。


 こんなに可愛いディーネと一緒に寝ることができないなんて、新手の拷問でしょうか!?


「おやすみなさいませ、ノウィル様」


 私のディーネに激しく揺さぶられた情緒など知らないとばかりに、淡々と挨拶をしてきます。ディーネに翻弄される私の感情を誰かに知ってもらいたいです。


 ディーネが可愛すぎて、一歩間違えば犯罪者になってしまいそうです。


 誰か、可愛さに悶える私を抑えてください! 興奮が冷めないので、寝られないかもしれません。


「おはようございます。ノウィル様」


 一夜明けると興奮は冷めました。寝ることができていない私に、ホーラが調合した薬草茶を持ってきてくれたので、無事に眠ることができました。


 良かったです。そういえば、ディーネは大人になったら、可愛いというよりは綺麗な容姿になりそうですね。


 その姿も見てみたいと思いますが、その姿を見てしまったら気絶してしまいそうです。


 やめておきましょう。ディーネと過ごすことによって、悶える回数が少なくなると良いのですが……。

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