第15話 恐怖の再来
冬休み真っ只中、私はやけに広い部屋で1人、流行りの曲のダンスを練習していた。おそらくみんな知ってる曲だから大丈夫だろう。私は初めて自信に満ち溢れていた。先生の反応を、先生に褒められた時を想像しながら…。
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冬休み明け初日、私は学年レクの担当の先生から個別に説明を受けていた。当日のプランは次の通り。
①演劇部をはじめとする文化部のワンシーンにダンスバトルのシーンがある
②Kが「誰か闘ってくれるやつ居ないかな〜?」と言う
③私が立ち上がり、「私が相手だ」と言ってステージに上がる
④練習していたダンスを踊る
⑤Kが「や、やられた…」と膝をつく
⑥幕が閉じる
私はすごく不安だった。でもみんな見守ってくれているし、大丈夫だろう。そして…私には先生もいる。だから、大丈夫。
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いよいよ学年レク当日。私は緊張していたがなぜかワクワクしていた。多分学校生活で初めての公の場だからだろうか…
様々なレクが終わり、いよいよ演劇部をはじめとする文化部のミュージカルが始まった。対して内容は入ってきてはないが、今まで見てきた他の生徒の出し物で一番楽しい感覚になっている。そしてKが言った。
「誰か私とダンス対決してくれるやつ居ないかな〜?」
私は立ち上がり、大声で言った。
「私が相手だ」
すると周りがざわつき始めた。そして私はゆっくりとステージに上がって、音楽が鳴り始めた。最初の高速ステップを踏もうとしたその時…
バタン
足をすべらせて転んでしまった。やばい、やってしまった…。と思ったら私の場所が濡れていた。触った感触と匂いからして多分オイルだろう。こんな細工まで仕掛けてあったのか…。まぁ見ている人たちからすればオイルが溢れているなんて想像もつかないから、私が凡ミスしたと勘違いされてしまっている。そして会場はシーンとした冷たく無音の空気が流れた。するとKがこっちを見て鼻をふさぎ、まぁまぁの声量で、
「A、なんか臭いんだけど〜」
と言った。すると会場には私をからかうような野次が聞こえた。
「Aのやつ、漏らしたんじゃねーの?」
「汚え〜!ダサーい!」
私は現状を理解しきれなかった。涙を堪えるので必死だった。
そして幕が閉じた。
Kは私の腕を引っ張って、誰も気づかないようにしながら女子トイレへと引きずり込んだ。そして私の胸ぐらをつかんでこう言った。
「お前のせいで全て台無しになったんだけど…どうやって責任とってくれるの!?」
Kは一発、また一発と私の頬を殴った。私は何も考えられなかった。そのままKは、トイレの水溜りの部分に私の顔を押さえつけて怒鳴りつけた。
「どう責任とってくれるの!?」
私はもう「死」を覚悟していた。終わった…と思ったその時、
「K〜?どこだ〜?居るか〜?」
先生がKを探す声が聞こえた。
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