第9話 心配

「先生〜!」


考え事をし過ぎて、気づけば数時間が経っていた。もう3時近くだった。ドアの向こうにはSが、こっちを見て手を降っている。

「どうした〜?」

いつも通り返事をすると、Sが頭を下げてこう言った。

「先生、Aを助けてあげてください」

俺はとっさに答えた。

「え?そんなの当たり前じゃん」

そしてSは嬉しそうにその場を立ち去った。


日が暮れ始めた頃、部活動終了のチャイムが鳴り、続々と生徒が門を出ていく。俺はAのいる保健室に向かった。俺は決めたのだ。Aを絶対に助けてあげたい。Aはよく、「他人に心配をかけたくない」と言っていた。でも俺はそんなのどうでもいい。そして俺は声をかけた。












「大丈夫か」











それはAにとってどう聞こえているのか、俺にはわからなかった。

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