第7話 チャンス

 翌日、Aは学校に来た。とても不満そうな表情を浮かべていた。またKに何かされたのか…?そんな不安が頭をよぎる。そして、不安な気持ちのまま授業をやって、昼休みのこと。AはクラスメイトのKとNに声をかけているのを見た。



「今日の放課後って空いてますか」




そんな声が聞こえた気がした。





「まぁ、空いてるけど」





KとNの軽蔑するような声も聞こえる。




その後、Aの声が聞こえた気がしたがよく聞き取れなかった。















そして放課後、校内を警備のために巡回していた。すると、放送室からKとNが出てきて、




「先生〜!お疲れ様です〜」


    



と言った。俺は遠回しに問いただした。



「放送室で何をしていたんだい?」



俺がそう言った途端、2人は顔を見合わせて、



「部活動があって…」


2人は放送部だった。そして、2人は笑顔でその場を去っていった。




俺は戸締まりの確認のために、放送室に入ることにした。そしてドアをそっと開けると…












身体中が傷だらけになったAの姿があった。他の職員を呼ぶのが最優先なのは分かっている。でも俺はショックだったのか、Aの側に近づき、そっと頭を撫でた。そして思わず、こんな言葉が出た。





「辛かったね。頑張ったね……。」








俺はその場で叫んだ。





 



 



「誰かー!誰か、今すぐ放送室に!」








   



すると複数人の職員達が続々とやってきた。















5、6人がかりで保健室に運び、担当職員が手当をしている間、俺は職員室でAの保護者に電話をかけていた。










「もしもし、Aのことなんですが…」




 





『すみません。突然で申し訳ないですが、今アメリカにいまして…。元々住んでたアパートは売らないで残してあるので、Aにそこで暮らすように伝えておいてください。』





「い、いや。それが…」







ガチャ、プー、プー、プー





電話が切れた。頭が混乱する中、Aの様子を見に行こうと保健室に向かった。すっかり日が暮れて、手当も無事終わっていた。保健室に行く途中、担当職員に事情を説明した。そして保健室に着き、Aを見るとぐちゃぐちゃになるほどに傷がつき、体中に包帯のようなものが巻かれていた。Aの首が少し動いているように見えたので、俺は声をかけた。










「目が覚めたか」













声をかけたのはいいものの、流石に返事はできないか…。そう気づいた時にはもう遅かった。まぁ、いっか。とりあえず今日は帰って寝よう。混乱する頭を冷やすのに最も有効なのは、寝ることだ。多分。







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