第5話 助けてあげたい

俺はAに話を聞こうと思う。それも、Kとの関係性を。でもある意味、無謀な話だ。なぜならAは、部活に入ってもなければ、すぐ帰ることが多いからだ。さらに言ってしまえば、最近から放課後の補習授業が始まったので、時間もあまり取れないのである。でもどうしてもAを助けてあげたかった。







そして補習授業制度が始まって数週間。何故か授業の時はAだけが多かった。ある日の補習授業中、ふと思い立って




「今日も1人なんだな。そういえばさ、」





そう俺が言いかけたとき





ガチャ





「補習授業、ここで合ってますか?」

 



Kが来た。Aを見たKは溜息を付き、Aから一番離れた席に座った。チャンスを逃したと思いながら、授業を始めた。











そして不穏な空気の中の授業が終わった。いつもなら少し雑談も交えているが、そんな発想に至らなかった。Aは颯爽と部屋を出た。いつもなら少し質問とかして帰っているけれど…結局その後、Kと話しながら部屋を出た。こんなに明るいKがAを傷つけているなんて、信じられない。でも、Aを助けてあげられるのは俺しかいない。そんな予感がしていた。

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