第2話 新たな気づき

 驚きが隠せなかった俺は、何度かAの方を見てしまった。結局聞いてくれたかどうかは知らないが…。


―キーンコーンカーンコーン―



 朝の会が終わった直後、Aにコソッと話しかけた。




「話を聞いてくれて、ありがとう」





褒められて嬉しかったのか、Aは少し顔を背けて照れたような表情を見せた。それが少し可愛らしく見えて、クスッと笑ってしまった。




 普段無表情なAが、こんな表情を見せたのは初めてに等しかった。Aの新しい一面を見ることができて俺は嬉しかった。





―キーンコーンカーンコーン―





 特に何事もなく(Kと雑談をして盛り上がったぐらいで)1時間目が終わり、2時間目に差し掛かった。2時間目は、学校生活に関するアンケートに答える時間だ。アンケート用紙を配って、みんなが書き終わるのを待っていた。

 全員が書き終わって、パラパラとみんなの回答を見ると、1人だけ不思議に思う回答をしている人がいた。それはすべての質問に「特に無し」とか、「どちらでもない」と回答しているのである。その人は…



 








もちろん、Aだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る