第10話 揺れる心
体もまともに動かず、先生の顔をみることができない私。だけど先生はそれを知っているのにも関わらず、私の顔を見て話すことはない。でも私はそれで良かった。
「時間が許す限り、話させてもらうよ。ただ聞いているだけでいい。」
そう言って、先生は話し始めた。
「まず、何よりAが無事で良かった。そして何もできなかった俺に感謝してくれてありがとう。正直に言って、ずっと心配していたんだ。放送室でたまたま会ったときから…いや、アンケートのときからかな。なんか薄々気付いてはいたんだ。夏休み明けまで何一つ気にかけられなかったのは申し訳無い。でもさ…」
一つ一つの言葉が、私の心を動かしていく。そしてその追い打ちをかけるように先生は言った。
「これからは違う。Aのことを全力で援護するから。もう君は一人じゃない。」
私は泣きそうになった。心が揺れる。
嬉しくて心が壊れそうだ。
「じゃあ、そろそろ俺帰るわ。また明日ね。おやすみ。」
そう先生は言い残し、部屋を出ていった。私の脳内には彼の微笑む顔が浮かんだ。
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