第10話 明らかになる真実
病室でこれからのことを瑠海さんと話した。
「今後、俺は瑠海さんと一緒に暮らします」
「そうね、そうしましょう」
「それから、新たな妹して迎えます」
「うん。自分で言うのもなんだけど、幼児体型だから……」
そう、瑠海さんは大人びてはいるが背が低くて、正直女子高生と言われたら信じるほどの若さ。
恐らく身長は150cmに満たない。
童顔の低身長――いわゆる合法ロリの類なのである。
「それにしても、瑠海さんって本当に30代なんです?」
「そ、それは……実は鯖読んでるのよね」
「うそ!? 失礼ながら、実際は30代後半とか?」
「ううん、違うの。ホントは20代なの」
「なにィ!?」
逆に若い方だったのかよ。
瑠海さんは自ら30代を自称していたようだ。そうしないと、ただでさえ童顔だから、バカにされると。
千城先輩もたびたび瑠海のことで気にしていた様子。
「本当の年齢を言うと
「20!?」
驚きのあまり、俺は叫んでしまった。
いや、驚くって。
鯖読み過ぎだろ。逆の意味で。
てか、千城先輩をいつ身籠ったんだよっ!?
「あ、言うの忘れていたんだけど千城は連れ子よ。本当は血が繋がっていないの」
「マジっすか。そっちも衝撃的すぎますって」
「前の旦那の子。私、16歳の時に結婚したんだけどね」
「若いっすね」
「うん。それから直ぐに離婚して、千城を押し付けられた形で……今に至るまでシングルマザーというわけなの」
そうか、どうりで瑠海さんは若く見えたわけだ。というか、実際に若かったんだ。年齢を偽っていたのは、千城先輩に母親らしいところを見せる為の見栄だったわけだ。
それにしても、連れ子をおしつけられるとか、どんな過去だったんだか。
「じゃあ、瑠海さんが妊娠したわけじゃないんですね」
「そうなの。当時の旦那に子供がいるなんて思わなかったわ」
苦い経験を思い出すかのように瑠海さんは、そう語った。
しかもその旦那は、別の女性に取られてしまったと。結果、瑠海さんは千城先輩を見捨てることもできず、育てることにしたらしい。
「苦労していたんですね」
「だからね、ここ最近の千城の行動には頭を痛めていたの」
「そうだったんですね」
「まあ、こんな風に言うのもなんだけど血縁関係はないから……千城はもう独立したがっているようだし」
もともとは千城先輩を高校卒業まで面倒を見るつもりだったらしい。けど、今回の事件があって、そうはいかなくなったようだ。
「どうするんです?」
「千城とはここまでかもしれない。多分だけど、隼くんのことも認めないと思うし」
だろうね。
実際、あの時は逃げ出して行ったし、今も友達の家に逃げ込んでいる状況だ。
「じゃあ、俺と同じですかね」
「そうね、千城は高校卒業後は働くと言っていたし、きっとひとりでやれると思う。私はずっと千城を支えてきて……自分の時間がなかった。本当はね、もっと恋愛とかしたかったの」
「なら、俺と一緒に暮らしましょう」
「嬉しい。隼くんって大人っぽくて、優しいから好き」
「そのことなんですが、実は俺も言わなきゃいけないことがあります」
「え……?」
「実は俺、昔……酷い交通事故に遭い、植物人間になっていた頃があるんです」
「交通事故って……」
「その時の俺は高校生。事故後、五年ほど眠っていたらしいです。気づけば病院のベッドの上……今みたいな状態で起きたんですよ。でも、周りはもう先へ進んでいた。俺は年齢だけが増えていた」
なので、俺は高校生をやり直していたんだ。
「まさか、隼くんって……」
「はい。俺は実年齢は21歳なんです」
「うそっ……! だからそんなに大人びていたんだ」
「はい。このことは墓場まで持っていくつもりだったんですが、瑠海さんのことを聞かされて、俺も話そうと思って。俺だけ秘密ていうのもおかしいでしょ」
「話してくれてありがとうね、隼くん」
最初は、ごっご遊びな感じになるかと思ったけれど、嬉しいことに俺は瑠海さんを“義理の妹”して迎えることが可能だった。
それが
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