依依恋恋

「私、決めたわ!」


 ふと思い立ち決意する。

 私たちはそろそろ離れるべきだろう。大好きで堪らなくて、離れ難くて、ずっと一緒にいた。

 ……最近なんて、ほとんど毎日。


 けれど、このままじゃ私がダメになってしまう。私たち、少し距離を置いた方がいいと思うの。


 去年も、彼がなくても生きていけるように、離れた期間があった。

 でも結局私が我慢出来なくて、数日で彼と一緒の生活に戻ってしまった。

 本当に大好きだから。



 離別五日目。


「もうムリ!生きてけない!」


 私の全身が彼を求めてたまらなかった。毎回こう。たった数日で、私の限界が来てしまう。


「ここで挫けたら今までと何も変わらないじゃない……」



 離別七日目。

 私は無意識にスマホに手を伸ばして、彼を呼んでいた。気づいた時にはもう手遅れだった。


「私のバカ……!」


 ピンポーン

 インターホンが鳴り、身体がぴくりと痙攣する。出ちゃだめ。出なきゃだめ。

 葛藤の末、私はふらふらと玄関の扉を開ける。



 ……やってしまった。

 私は扉を閉め、暖かいビニール袋を抱き抱えて、テーブルに置く。袋を開けると、容器に入った彼が姿を現した。


「……やっぱり、あなたがいないとダメみたい」


 椅子に座り、蓋を開けて匂いを嗅ぐ。そして割り箸を持ち、私はずるずると"あれ"を思い切り啜った。

 チャーシュー、ネギ、メンマ、海苔。醤油のスープが疲れた身体に染み渡る。


「美味しい〜!!!!」


 こうして、私のダイエットは幕を閉じたのだった。

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