第39話 ホースと共にあれ
朝起きると、キルトは既に起きていて
「ご飯食べたら修行始めるから!」
と言った。
背中には亀の甲羅を背負っている。
それって、特訓される側が背負うやつなんじゃないかと思ったけれど、もちろん黙っておいた。
キルトはオレをよくわからない沼地に連れて行くと、そこにある洞窟に入るよう言った。
めっちゃ魔物出てくるんだろうな…と思ったら、全然出てこない。
最初に見たのは、たくさんの村人達が現れて、キラキラした瞳でオレを見ている幻だった。
洞窟のどこを歩いても、そんな村人に会うばかりだった。
それでも一番恐怖に感じたのは、自分が朝起きて、身なりを整え、職場に行き、一心不乱に仕事をこなし、就業時間みっちりと働き続けるという幻だった。
洞窟を出るとキルトに
「自分が恐怖だと感じる幻影に打ち勝てた?」
と聞かれた。
確かに恐ろしい思いはしたけど、これ、「打ち勝つ」とかいうレベルのものなんだろうか?
多分、全然修行にはなっていない気がする…
「ホースを信じるんだよ、アイザック!」
と言われたけれど、庭への水まきに使ったりするホースのことを言っているんだろうか?
散水用ホースのメーカーにこだわりを持てと言うことなんだろうか?
気が付くと夜になっていた。
「じゃあ、そろそろ始めようか。」
キルトはそういうと、自分の持っている剣を抜いた。
「本気で向かって来て!おれも本気でいくから!」
しつこいようだけど、第9話読んだらわかるように、キルトの攻撃は剣じゃないんだよ。
あれどうやってよけるんだよ?
オレは魔王を倒しに行く前に死ぬかもしれない…
あ!これで最終回だ。
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