第30話 運命

辺りが暗くなってきたので、早くどこか泊まるところを探さないと、そう思っていた時、魔物に襲われている男に遭遇した。

「あ!」

と言った瞬間、キルトはもう、その魔物をぶったぎっていた。

魔物は一瞬で倒されて宝石になった。

その宝石をキルトはひょいとオレに投げて来た。



いつもより断然早いんだけど…

何が起こったのか全然わからなかった。


いつもオレに合わせて夜は宿屋で寝てるから、今まで気が付かなかったけど、キルト…夜は更に強いのか。



「ありがとうございます…勇者様。」

助けた男は、少し躊躇したものの、キルトに向かってお礼を言った。

キルトはやっぱり嬉しそうだった。



「わたしはこの先にある『魔王を倒せる伝説の剣を作る鍛冶屋が住む村』に住んでいる、ジュウサと申します。よろしければ、ご案内しますので、どうぞ今日は村の宿屋にお泊り下さい。」



男はギリのネーミングだった…わかる人しかわからないから大丈夫だろう。

村の名前は、流行りをめちゃくちゃいろいろ意識しまくっている…



「ありがとうございます。」

キルトとオレはジュウサについて行った。



「この出会いがその後、オレ達の運命を大きく変えることになろうとは、その時のオレ達には知る由もなかった。」



「ねぇ、アイザック、今言ったことどういう意味?」

「キルト、今のはナレーションだから。」

「え?ナレーションって何?」

「えーまぁ、心の声みたいな?」

「心の声を口に出すの?」

「誰かに言ってるんだけど、誰にってわけじゃないから。」

「ふうん。」

「ほら、行くぞ。宿屋に着いたらカラアゲいっぱい頼もう。」

「うん!」

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