第28話 再会

歩いていると、前から人の姿をした魔物がやって来る。

この、人の姿をした魔物は本当に強い。


向こうもオレに気がついた。


ただ突っ立って、話しかけてくるのを待った。


「アイザック…」


「戦わないよな?」


「うん。アイザックに会いたいって思って…」


「オレも、それ思ってた。キルトに会いたかった。ちゃちゃちゃちゃんちゃちゃん!」

「それ、前も歌ってたよね。」

キルトが笑った。



知ってたのか。



「あのさ、なんか最近、いろんな世界は、どこかでつながってるんじゃないか、って思うんだ。だからキルト、いつか人間に転生できるかもしんないし。」

オレがそう言うと

「でも、悪役令嬢とかだと嫌だな…」

と言ったので


いや、男から女に転生はないだろ?


と、言いかけてやめた。


あやうくコンプライアンスにひっかかるとこだった。

多様性の時代だからな。

男だとか女だとか、難しいんだ。


最近いろいろギリギリで心配になる。



「とにかく、また一緒に旅をしよう。」

それだけ言った。

キルトは嬉しそうだった。

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