第22話 <番外編>アイザック

おかしい。


こんなはずじゃなかった。



気がついたら規則正しい生活をしてしまっている。



朝起きて、朝食を食べている。

それもこれも、朝陽が昇るくらいの時間に清々しく目が覚めてしまうからだ。



昼間は移動してる時が多くて、キルトの足が速いから、こっちは小走り気味になる。

重い武器と防具をからだにつけて、毎日小走りだから、自然と体力がついてしまった。


望んでもいない「適切な運動」を継続してしまっている。


本来ならそろそろ馬車に乗れるんじゃないかと期待したが、馬がキルトを怖がるから使えない。

この先ずっと徒歩とか、考えられない。


村でだらだらしといた方がましだっただろうか?


夜は毎回、酒に弱いくせにキルトが飲むから、オレの酒量は健康的なくらいほどほどだ。

キルトをベッドに運ばなければいけないから、へべれけになんか酔っていられない。

一度だけほっといていたら、寝ぼけてよくわからない魔法を放ち、食堂のテーブルが全部粉々に砕け散った。

お金で解決できたけど、これはまずいだろ。



回復魔法を教えろと言うから教えたら、お礼だと言って、無理やり攻撃魔法を覚えさせられた。

なんとか胡麻化して練習から逃げようとしていたら、キルトが舌打ちをした。

その拍子に近くの山が一個消し飛んだ。

それでまじめに魔法の習得にはげんだ。


でも覚えても結局使わないやついっぱいあるんだよ…


それに、毎日、旅の日記を書かされている。



昼過ぎまで寝て、何なら一日中寝て、起きてもベッドから動かなくて、ベッドの周りの手が届くところに必要な物を全部揃えておいて…

とにかくそんなダラダラとした理想の生活をするはずが…



どんどん健康的になっていく。

このままじゃあ、野草だって飲んでないのに、欲張ってないのに、100歳まで生きてしまう。


どこで間違えてしまったんだろう…



今朝もゴミをきちんと朝のうちに出してしまった。

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